第27話 耳
「佐伯くん。私の知り合いの子が練習相手をしてほしいって言っているんだけど、どうかな?」
そう言ってきたのは
ただ、一緒に寝るだけの関係でそれ以上でもそれ以下でもない相手と言える。
最近は寝相がよくなったようで彼氏からのクレームも減ったと言っている。
俺との練習の成果が表れたと考えれば貢献しているのではないか。
「練習って添い寝ですか?」
「添い寝とはちょっと違うかな。何て言えばいいんだろう。耳フレってやつ?」
「全然、聞いたことがないですね。何ですか。それ」
「簡単に言えば耳を舐め合うって関係。その子の彼氏が耳を舐められるのが好きで定期的にしているようなんだけど、どうやれば気持ちいいか他の人で試したいって言っているの。そこでソフレがいるって話したらその都合いい人を紹介してくれって頼まれたわけよ。特殊なプレイになるから断ってもいいんだけど、どうする?」
「紹介して下さい!」
「即答? いいのね? じゃ、そうやって連絡するよ」
「はい。お願いします」
耳フレ。何だ、その楽しそうなプレイは。思わず俺は希望してしまったが、その相手のことは一切知らない。それでも自分の好奇心は止められなかった。
その相手とは安藤さんの近所で小さい頃から関わり合いがある女の子だ。
しかも中学三年生という年下だ。中学生と高校生で立場は全然違うのだが、歳は一つしか変わらないのでそこまで距離のある相手とは言えない。
「初めまして。
黒髪ロングで大人しめの子だった。
中学生ということもあり、胸は控えめ。だが、顔に幼さが残るが、成長したら美人になる整った顔をしている。歯がゆい笑顔がまた可愛く見えた。
「佐伯高嗣です。こちらこそよろしく」
安藤さんの紹介なのでゴリゴリのギャルを想像していたが、全くそんな感じがしなくて安心した。どうして仲がいいのか疑問を浮かべるレベルだ。
「あの、関係を築く前に約束事項を守ってほしいです」
「約束事項?」
「私を無理やり襲うようなことはやめて下さい。私、処女ですし、彼氏ともそういう行為はして欲しくないって念を押しているくらいです。それだけ守ってくれますか?」
「分かった。絶対に襲ったりしないって約束する」
「ありがとうございます」
「それにしてもどうして彼氏とやらないの?」
「中学の間はそういうのは無しにしたいって決めているんです。やっぱり怖いじゃないですか。それは彼氏も理解してくれたんですけど、それっぽいことはしたいって言われて。二人で考えた結果、耳を舐めるくらいならって言ったらそれが定番になっちゃったんです。彼氏は喜んでくれるんですけど、もう少し磨きを掛けられたらって火乃香ちゃんに相談したら佐伯さんを紹介されたって経緯です」
キスでいいじゃんとは思ったけど、耳にいくのか。
確かに耳は敏感な場所だから舐められると興奮するかもしれない。
「耳舐めっていいですよね。場所も人目さえ避けられたらどこでもできますし、実際にやられてみると力が抜けるらしいですよ」
「へー。俺も経験ないからちょっと楽しみだな」
「では早速やってみましょうか。いつも公園のベンチや茂みに隠れてするんです」
待ち合わせした公園には誰もいない。
たまに犬の散歩で通るくらいで静かな公園だった。
俺と瑞穂ちゃんはベンチに腰掛ける。
「じゃ、いつも彼氏にやっているようにしますね」
「お願いします」
耳の外側をレロッと舐められた。
「うっ」と俺は一瞬、寒気を感じた。
「あ、大丈夫ですか?」
「大丈夫。続けて」
「じゃ、失礼します」
耳タブを咥えられてはむはむと口の中で転がされる。
確かに力が抜ける。というより吸い取られていく感覚だ。
クチャクチャと耳タブを味わうように。
カリッと甘噛みされた耳タブに一瞬、痛みを感じるが、不快な痛みではない。
むしろ心地いい痛みである。
耳ってこんなに気持ちいいものだったのか。
「じゃ、とっておきのやついきますね」
「とっておき?」
すると瑞穂ちゃんは口を大きく開けて耳全体を吸い付かせた。
そして舌が伸びてきて耳の穴にチュルルッと入り込む感覚が襲う。
「あっ! うっ!」
耳なのでいやらしい舌使いの音が直で聞こえる。
その音がさらなる刺激を与えた。
「ん! やば!」
「ぷはぁ! 結構、疲れるんですよね。これ。どうでした?」
「気持ちよかった。あの、もう片方の耳もお願いできる?」
「はい。いいですよ。その代わり私にもやって下さいね」
それから反対の耳も同じようにやってもらった。
これ、いいかも。なんかハマりそう。
特殊なプレイは満足いくものに変わった。
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