第12話 紹介しなさい
「は、は、ふぇ? 何、キスの相手? 添い寝の相手? 胸を揉む相手? 佐伯くん。あんたかなりのヤリ手ね」
「いや、別にヤリ手って訳じゃ……。ただの練習相手だよ。向こうも困っているみたいだからお互い様ってところが多いかな」
「そういえば練習がどうのって言っていたけど、そう言うことだったのね」
俺は百合先輩に現状、そういう練習相手がいることを伝えた。
勿論、その反応は困惑するものであった。
聞いてきたのはそっちなので俺が悪いわけではないのだが、普通ではありえないものなので仕方がないだろう。
「確かに。考えてみれば佐伯くんのそういう練習相手としては罪悪感ないかもね。本命としては無いけど、本命を活かすために必要な練習相手としては打ってつけだと思う」
「やっぱり百合先輩から見ても俺って練習に過ぎない相手に見えますか」
「でもそれはいいことだと思う。何も知らないより練習を重ねることによって本番で慌てなくなるからいい活動だと思うよ」
「そうですか。じゃ、今のやり方を続けてみます」
「ねぇ、それだけ相手がいるなら私にも紹介しなさい」
「へ?」
「私だってキスの相手や添い寝の相手や胸を揉む相手が欲しいもの」
「欲しいってその人は男が好きなんですよ? 百合先輩のように女好きだと難しいんじゃ無いですか?」
「三人もいるなら一人くらい了承してくれる人いるでしょ。お願い! 同志として協力して」
「まぁ、聞いてみないこともないですけど、自分の周りにいないんですか」
「私の周りは男好きしかいません」
「百合先輩は男嫌いなんですか?」
「嫌いってことじゃないけど、怖いと言うか。昔、乱暴されてトラウマなの。でも、女の子相手だと優しくしてくれるじゃない? だからどっちかっていえば女の子の方が好きなの」
「そうですか。分かりました。一応、声を掛けてみますけど、期待しないで下さいよ」
「本当に? 流石、同志よ。頼りになるわね」
百合先輩は強めに俺の背中を叩いた。
これはかなり期待している様子だ。俺はかなりの重荷を感じた。
だが、これも百合先輩の為だ。俺は聞くだけ聞いて見た。
「え? 女の子の相手をして欲しい? そういう趣味ないし。遊ぶとか友達としてなら全然オーケーだけど、そっち系は勘弁してよね。私、男にしか興味ないから」
まず、一人目。添い寝相手である
美少女ギャルの安藤さんは性的なものは男でしか受け付けないようだ。
これは予想通り。聞くだけ無駄だったと言える。次!
「女の子の相手? 佐伯くんといつもヤっていることを女の子とヤるってこと?」
「えぇ、まぁ。どうでしょう」
二人目。キス相手である
悩む様子を見せる遠山先輩に俺は奥歯を噛み締める。
「私は男が好きなんだけど、年下の女の子も好きだよ。可愛いって意味だけど」
「で、ですよね」
「百合か。考えたことなかったけど、経験としてはありかも」
「本当ですか?」
「でも、人による。その子の写真あるかな?」
「はい。頼んでみます」
写真が欲しいことを百合先輩にメッセージを送ると秒で帰ってきた。
等身大の姿がバッチリ映った写真を遠山先輩に見せる。
「あー、こういうタイプの子ねぇ。はい、はい。なるほど」
「それで相手として紹介してもいいですか?」
「んーないかな」
「な、ないですか?」
「うん。妹感覚で遊ぶ分には問題ないけど、キスとかそういう相手には見えない」
「見た目がダメってことですか?」
「まぁ、そうだね。ちょっと子供っぽい。もう少し、大人びている子なら相手としていけると思ったんだけどね。ごめんね。期待に添えなくて」
「いえ。こちらこそ無理を言ってすみません」
「そうだ。佐伯くん。今日も少しお願いできる」
「はい」
遠山先輩もダメとなれば残りは一人。
三人目。幼馴染であり、定期的に胸を揉むことになった
「はぁ? 何を言っているの? あんた」
いきなり侑李は否定から入る。まぁ、そうだろうな。侑李は俺にそういう相手が他にいることを知らない。
「実はその子は困っているんだよ。俺と同じで自分に自信がないから練習相手が欲しいって」
「それで私に頼ったってわけ? でも、相手は女の子なんでしょ? 同性愛かぁ。考えたことなかったな」
「意外と楽しいかもしれないぞ?」
「何であんたがその子の肩を持つのよ」
「いや、ほっておけなくて。その子も西蓮寺さんが好きなんだよ」
「ふーん。それで意気投合したってわけ? 分かりやすい」
「まぁ、そうだな。それでどうなんだ? 断るなら断るって言うから」
「女の子かぁ。ちょっとその子の写真を見せてくれる?」
「ん? あぁ、これだよ。一つ年上の
侑李に写真を見せた途端、顔がニヤけた。
「侑李?」
「この人、本当に年上?」
「あぁ、そうだよ」
「イイかも」
侑李は百合先輩の相手を引き受けた。
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