第27話 死神

バンッ!!バンッ!!  

ズドンッ!!

スパッ!!

ドンッ!!


楓の拳銃と有咲のショットガン、ソフィアの刀、レイナの魔法がそれぞれゾンビに襲い掛かる。


「いや、どんなゾンビ映画だよ!!」

「ゾンビを倒すのに魔法とか使うなんて、B級映画だね!!」

「2人とも何の話をしておるのじゃ…?」

ポヨンッ…。


橙色の弾道が、ゾンビに当たり、ゾンビの肉体が燃え尽きる。


「燃えたなぁ」

「燃えてるねぇ」

「燃えておるのぅ」

ポヨンッ…。

「火葬だな」

「火葬だね」

「火葬じゃのう」

ポヨンッ…。


3人と1匹の目の前で、焼けるゾンビを眺める。


「先に進むか」

「だね」

「うむ」

ポヨンッ…。


楓たちは、ダンジョンの奥へと進む。







「また出たな」

「今度は、スケルトンみたいだね」

「のう、お主ら」

「ん?」

「どうしたの?」

「お主らが倒したスケルトンって武装しておったのか?」

「剣は持ってたよな?」

「うん」

「ふむ、じゃが目の前に現れたスケルトンは剣と盾を持っておるようじゃが…」

「だな」

「そうだね」

ポヨンッ…。


楓たちの前には、スケルトンが数体現れているのだが、目の前に居るのは、剣と盾を装備したスケルトンだった。


バンッ!!


楓が赤い弾丸を放つも、盾で防がれた。


「あの盾かなり丈夫だな」

「じゃあ近距離で私が…」

「待って有咲。ここは、青色の弾を使うところだろ」

「あっ、そっか」


楓は、青のマガジンに入れ替える。


「本来の威力では無いかも知れないが、倒せるだろ」


バンッ!!


青色の弾道がスケルトンの盾を貫き、スケルトンの身体を貫通する。


「この弾は、貫通力があるからな。その程度の盾だと簡単に貫ける」

「楓の力で倒せるんだったら、私の青色の弾丸でも倒せるよね」

「ああ。だけど、俺の赤色の弾丸を防ぐほどの盾だ。なかなかなものだぞ」

「そうみたいね!!」


ズドンッ!!ズドンッ!!


有咲の青色の弾丸は、次々とスケルトンの盾を破壊する。

楓と比べて、寒色系の弾丸は、有咲の方が威力が高い。

そのため、スケルトンの盾は粉々に砕け散った。


「はぁぁぁぁ!!」


スパッ!!スパッ!!スパッ!!


有咲が盾を破壊し、ソフィアが無防備になったスケルトンを切り伏せる。


「二刀流なのじゃ~」


楓の刀と有咲の刀の二本を受け取ったソフィアは、スケルトンを蹂躙していった。


ポヨンッポヨンッ…。


レイナは、スケルトンの足元を凍らせ、身動きを封じた。


「よくやったレイナ」


バンッ!!


楓の弾丸は、スケルトンの頭蓋を打ち抜いた。








「ひとまずは、こんなもんか」

「そうだね」

「…」

「ソフィア?」

「どうかしたの?」


ソフィアは、スケルトンの残骸を見て何かを考えているようだった。


「スケルトンが武装しておるなんて初めて見たのじゃ」

「ああ。だが、アルヴァンを攻めて来たスケルトンは、あそこまでの武装はしていなかった」

「そうだね、でも剣だけは持っていたよ」

「分からぬことが増えるのぅ」


ソフィアにも分からない事があるようだった。


「先に進むか」

「うん」

「そうじゃな」


スケルトンの死骸を踏み越え、先に進む。








「だいぶ深くまで来たよな…」

「そうだよね…」

「うむ、ここに来るまで、かなりの魔物と戦って疲れたわい」

ポヨンッ…


ダンジョン攻略開始から30分ほど経過していた。

その間、ゾンビやスケルトンといった魔物と戦った。


「奥に行けば行くほど、スケルトンの装備が豪勢になっているような気がするんだが…」

「そうだね。ちょっと頑丈になっている気がする」

「そうじゃのう」

ポヨンッ…。

「ほら、噂をすればってやつだ」


楓たちの目の前には、武装したスケルトンが居た。


「いや、あれ何?」

「鎧着てない!?」

「一筋縄ではいかなさそうじゃのぅ」

ポヨンッ…。


剣と盾、さらには鎧や甲冑を着たスケルトンが、数体楓たちの所に向かってくる。


ガシャガシャガシャ!!


「やかましい!!」


バンッ!!


「ダンジョンの中は響くのよ!!」


ズドンッ


「こやつらに鎧は無駄じゃよ」


スパッ!!


ポヨンッ!!


ドンッ!!


鎧を着たスケルトンは、3人と1匹により跡形もなく消し炭になった。


「鎧って走るとあんなにうるさいんだな」

「私たちの防具は、こういうので良かったよね」

「変わってはおるがのう」

ポヨンッ…。


本日の楓と有咲の服装は、警官のコスプレ衣装だった。


「魔物が居るって事は、結界が張ってあったり、すでに攻略されているわけではなさそうだな」

「確かに、そうだね」

「そうじゃのう」

「ってことはだ」

「うん」

「なんじゃ?」

「このダンジョンの主がまだご存命ってわけだ」

「そのはずだよね」

「そうじゃな。じゃが、スケルトンにこんな装備させておるからのう。注意はするべきじゃ」


楓たちは、ダンジョンの主がいる扉の前までやって来た。


「さてさてボス部屋までやって来たのは良いが…」

「中には主が居るみたいだね」

「お主ら、気をつけるのじゃぞ」

「おう」

「うん」

ポヨンッ…。


楓と有咲が大きな扉を開ける。







『グリム・リーパーLv.100』


扉の先には、黒いフードを被り、大鎌をもったスケルトンのようなものがいた。


「死神か…?」

「みたいだね」

「お主ら来るぞ!!」

ポヨンッ…!!


スパッ!!


「危なっ!!」

「きゃっ!!」

「くっ!!」

ポヨンッ!!


グリムリーパーは、楓たちに向けて大鎌を振り払う。


「有咲!!ソフィア!!奴のリーチに気をつけろ!!。レイナは、陽動を頼む!!」

「「分かった(のじゃ)!!」」

ポヨンッ!!


有咲とソフィアがグリムリーパーへと近づく。

その間、レイナが幻術により陽動。

楓は、スナイパーライフルを構える。


「当たれよ…」


バンッ

赤色の弾道が、グリムリーパーに向け一直線に進む。

しかし…。


「なっ!!」


グリムリーパーは、楓の撃った弾を避けていた。


「早いな…」

「こっちを無視しないでよね!!」


ズドンッ!!


有咲のグレネードランチャーがグリムリーパーに当たって爆発する。

だが、当たりはしたものの怯むことなく、有咲に向かって大鎌を振り払う。


「当たったけど、あんまり効いてなさそうだね!!」

「有咲殿!!」


ガキンッ!!


グリムリーパーが振り払った大鎌をソフィアの刀が受け止める。


「くっ、重いのう」

「ソフィア!!」


バンッ!!バンッ!!バンッ!!


楓の緑、橙、青色の弾丸がグリムリーパーに向かって放たれ、着弾する。

爆発や延焼、貫通はするものの弱る様子は見られなかった。


「丈夫だなっ!!」

「全くだよね!!」

「トロールと違ってスピードも速いのぅ」

ポヨンッ…。

「あの大鎌のリーチはかなり長い。懐に入りさえすれば、まだマシなんだろうが」

「近寄せてもらえないよね」

「困ったものじゃ」

ポヨンッ…。


一度、グリムリーパーから距離を取る。


「レイナと俺で注意を引くから、有咲とソフィアでやれないか?」

「やってみないと分からないかも」

「注意はそちらに行くじゃろうが、危険ではなかろうか?」

「分からん」

「本当に大丈夫なの?」

「さあ」


『アアア!!』


グリムリーパーが再び楓たちを目掛けて攻撃をする。


「っ!!作戦会議は終わりだな!!。有咲!ソフィア!!任せたぞ!!」

「うん!!」

「了解なのじゃ!!」

ポヨンッ!!


レイナは、再び幻術を使い注意を引く。

楓は、引き金を引き、紫、黄、藍色の順にグリムリーパーに向け、放たれる。


『アアア!!』


グリムリーパーは、楓に向け攻撃を繰り返す。


「ヘイトは取れたな…。レイナ!!サポートを頼むぞ!!」

ポヨンッ!!


楓は、グリムリーパーの攻撃を躱し、レイナの幻術により身を隠した。


「隙ありだよ!」


ズドンッ!!


有咲は、グリムリーパーの懐に入り、紫のグレネードを放つ。


『アァァ!!』


「ガラ空きじゃ」


ソフィアは、グリムリーパーの胴体に斬撃を放つ。


『アァァ!!』


グリムリーパーは、連続攻撃により怯む。


「今だ!!」

「うん!!」

「分かっておるのじゃ!!」

ポヨンッ!!


3人と1匹は、グリムリーパーに向け一斉攻撃をする。


「しぶといなっ!」

「そうだね!!」

「じゃな!!」

ポヨンッ!!


楓と有咲は、何度もリロードを繰り返し、威力の高い攻撃を加え、ソフィアは斬撃を与え、レイナが炎、水、雷、風、光、闇魔法を放っていた。


「もうそろそろ終わってくれないかなー」

「本当だよね」

「全くじゃ」

ポヨンッ…。


攻撃を繰り返すもグリムリーパーは、まだ立っていた。


「実は、ギミックがありましたーってオチは無いよな…」

「やめてよ、そんなもの今更分からないよ」

「確かに、しぶといのぅ。というかお主らは、レベルをカンストしておらぬかったか?」

「確かにな」

「そうだよね…。でもMAXってどのくらいなんだろう」

「その辺の話は、帰ってからにするかのう。ほれ、魔物が待ちきれなさそうじゃ」

「みたいだな」

「じゃあラストスパートだね」


『アァァ!!』


楓たちは、グリムリーパーにとどめを刺すため猛攻をかける。

楓は、赤、緑、橙、黄の高火力で連射し、グリムリーパーの注意を引く。

有咲は、大鎌を掻い潜り、赤、青、紫、藍のグレネードを撃ちこむ。

ソフィアは、2対の刀を使い、グリムリーパーを切り刻む。

レイナは、雷魔法をグリムリーパーに放つ。


「じゃあとどめと行くか。有咲!!ソフィア!!レイナ!!デカいのを食らわせてやれ!!」

「えっ!!うん!!分かった!!」

「良いのじゃな!!」

ポヨンッ!!

「ああ、構わん。俺がこのまま注意を引くから、頼んだぞ!!」


楓は、グリムリーパーの攻撃を躱しつつ、部屋を走り回る。


「じゃあ行っくよー!!」


有咲は、装備をロケットランチャーに替え、狙いを定める。


「妾も本気の一撃を食らわせるとしようかのぅ」


ソフィアの身体が白き光に包まれ、白きドラゴンの姿に変身し、ブレスを溜める。


ポヨンッ…


レイナも高威力の雷魔法を放とうとしていた。


『アアア!!』


「今だ!!」


楓の合図を聞き、有咲、ソフィア、レイナの一斉攻撃がグリムリーパーを目掛けて放たれ、グリムリーパーは爆散した…。

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