第12話 機械仕掛けの町
「ふぁぁぁ…」
「ん~!!」
「おはようじゃ。2人とも」
「おはよう…」
「おはようソフィアさん」
「楓殿は、朝が弱いようじゃな」
昨晩は、この町にグーデルに着いた後、宿屋に向かい体力のついた4人?は、休んで終わった。
楓は、この世界に来てから徐々に朝が弱くなっている。
転生前の世界では、朝早くに起きて出社の準備をしていたが、この世界では出勤時間とかを気にしないでようになり朝早く起きることが減ってきている。
「ほら楓、起きて」
「起きてる…」
「楓殿…。そうじゃ!!。レイナ頼む」
ポヨン…。
「ふにゅっ!」
レイナが楓の顔に飛びつく。
「むぐぐ…!!」
「れ、レイナ!!」
「うむ。レイナ放してやれ」
ポヨン…。
楓の顔に飛びついていたレイナは、再びソフィアの元に戻る。
「はぁはぁ…。死ぬかと思った…」
「だ、大丈夫?」
「なんとか…」
「よしよしじゃ〜」
有咲は、楓の心配をし、ソフィアは、レイナを撫でる。
「そういえばだけどさ」
「楓?」
「どうしたのじゃ?」
「昨日はもうだいぶ暗くて分からなかったけどさ」
「うん」
「ふむ」
「この町どうなってんだ?」
「ああそれね…。それに関しては私も思ってたよ」
「確かに変わった町じゃのう」
昨晩は、暗くて気付かなかったが、今は陽も昇っており辺りの様子が確認できる。
楓たちの目には、異様な光景が広がっていた。
「ここってファンタジーな世界なんだよな…」
「そ、そうね…」
「うむ」
「じゃあ何でロボットが町を歩いているの!?」
「アンドロイドかもよ」
「外の世界はこんなものまであるのか。不思議じゃのぅ」
町には、人型の機械や犬型のものまでなど様々な機械人形が歩いていた。
「あれって魔物じゃないんだよな…」
「楓、こういう時の鑑定じゃない?」
「確かに」
「じゃあ私がするね。鑑定」
『アンドロイドLv.10』
「アンドロイドだって」
「本当にアンドロイドなんだ」
「変わった生き物じゃな」
「それにこの町の所々で、なんか機械仕掛けっぽい建物とかあるし…。どんな町だよ…」
「そうだね。例えばあの大きい歯車とか何の意味があるんだろうね」
この町の中心に大きな歯車のオブジェが置いてある。
「それで俺たちがこの町に来た目的だったが…」
「馬よね」
「そうじゃったなぁ。しかし、その馬はどこにおるんじゃ?」
「「…」」
町を見渡しても、馬らしきものが居る様子はなかった。
「だ、だまされた?」
「そんな事はないと思うけど…」
「ふむ…」
「そ、そうだよな。この町のどこかに馬とか居るよな!!」
「そ、そうだよ!!。どこかには居るはずよ!!」
楓と有咲は、この町のどこかに乗馬用の馬が居ることを願い足を進める。
「2人とも」
「ん?」
「ソフィアさん?」
ソフィアは、楓と有咲を呼び止める。
「1つ気になったことがあるんじゃが…」
「どうかしたのか?」
「気になったこと?」
「アルヴァンは、交易都市じゃったが、商人はどうやってあの街に荷物を運んでおるのじゃ?」
「「…確かに!!」」
2人は今まで気付かなかった。
アルヴァンは、交易都市であり、さらには、冒険者になりたい人が集まる街だ。
それなのに、馬のような移動手段になるようなものを見た事がない。
「じゃあ何かしら仕掛けがあるのか」
「私たちがまだ知らない事がありそうだね」
「妾もあのダンジョンから出て間もないから、外の世界の事はあまり知らないのじゃが、何かあるのじゃろうな」
この町には、楓と有咲もまだ知らない何かが存在する。
「楓」
「んー?」
「アンドロイドって動力源はなんだろうね」
「…電池?」
「リチウムイオン電池で動いてるのかな」
「かもしれん」
「2人とも、あれを見るのじゃ」
楓と有咲が、町を歩いているアンドロイドの動力源が何かを話している間にソフィアは何かを見つけていた。
「あれは…」
「馬なの…?」
「馬じゃろ」
「そうなのか…?」
「なんかメタルなんだけど…」
3人と1匹(ソフィアの服の中)は、メタルな馬が売られている店へと足を進める。
『イラッシャイマセ』
「「(めちゃくちゃカタコトだ…)」」
『キボウノシナハ、アリマスカ』
「2人は、どの馬を買うのじゃ?」
「そ、そうだな」
「どんなのがあるの?」
『コチラヘドウゾ』
アンドロイドの店員に案内される。
『コチラガショウヒントナッテオリマス』
「「う、うわぁ」」
「ふむ…」
3人が案内されたのは、メタルな馬が並んでいる広場だった。
『オスキナノヲドウゾ』
「お好きなのって…」
「何が違うんだろう…」
「のう、店員。お主のおすすめはあるのか?」
楓と有咲が悩んでいる間に、ソフィアが店員に尋ねる。
『コレナドドウデショウ』
店員がおすすめとして紹介したのは…。
「「車じゃん!!」」
「ほぅこれが…」
転生前の世界では、よく乗っていた車だった。
『ゴゾンジデシタカ』
「いや、馬じゃねぇ!!」
「どういう事なの!?」
「確かに馬ではないのぅ」
『ミナサマデツカワレルノナラ、コチラガオススメデス』
「確かに!!」
「便利だけども!!」
「ふむ」
『シカシ、アヤツルノハムズカシイノデゴリョウショウクダサイ』
「そ、そうなのか?」
「中を見た感じ、本当にあの車だよ?」
「妾はよく分からんが、そんなに難しいものなのか?」
『ハイ。ソノタメ、オススメナノデスガ、アマリニンキガアリマセン』
この世界では、車は運転が難しいとされているようだ。
「試乗とかできるのか?」
『カノウデス』
「じゃあ試乗してみて考えるか」
「そうだね」
「お主らがそう言うなら良かろう」
こうして3人は、車を試乗する。
「あんまり、変わらないな」
「そうだね」
「快適じゃのう~」
3人は、車を満喫していた。
ちなみに、運転は楓がしている。
「この車って燃料は何なんだ?」
「ガソリンなのかな?」
「魔法で動いているのではないのか?」
「分からん」
「帰ったら聞きましょ」
こうして市場を終え、先ほどの店に戻る。
『イカガダッタデショウカ』
「良かったぞ」
「あれの動力源って何なの?」
『コチラデウゴイテイマス』
店員は、車から燃料タンクのようなものを取り出す。
『コチラニマリョクヲチャージシ、クルマニイレマス』
「な、なるほど」
「便利ね」
「すごいのう」
『ホカニナニカアルデショウカ』
「いや…」
「どうする?」
「妾は、2人に任せるぞ」
「じゃあ買います…」
「だね」
『アリガトウゴザイマス』
こうして移動手段を手に入れたのだった。
会計を済ませ、乗ってアルヴァンに帰ろうとしたその瞬間…。
ドンッ!!
どこからか爆発音が聞こえた。
「な、何だ!?」
「何の音!?」
「あそこじゃ!!」
ソフィアが指を指した先には、巨大なアンドロイドが暴れていた。
『オキャクサマハ、ヒナンヲ』
店員が、避難指示をする。
「何が起きているんだ?」
『アンドロイドガボウソウシテイルヨウデス』
「何だと?」
「大丈夫なの?」
『ホンライデアレバ、セイギョソウチガサドウスルノデスガ、ボウソウシテイルタメサドウシナイヨウデス』
町を暴れている巨大アンドロイドは、暴走状態にあるようだ。
「2人ともどうするのじゃ?」
「どうしたものか…」
「止める方法は無いの?」
『トメルホウホウハ、フタツ。ハカイとドウリョクヲテイシサセルコトデス』
「その動力はどこにあってどういうものなんだ?」
『クビモトノコレデス』
店員は、自分の首元を見せ、動力源をむき出しにする。
「「まさかの単二電池!!」」
アンドロイドの動力源は、単二電池だった。
この電池には、車と同様、魔力がチャージしてある。
「使い道が良く分からない単二電池がこういう所で使われているなんて…」
「驚きだな…」
「2人とも、驚いている所悪いのじゃが!!。あの巨大アンドロイドこちらに向かってきておらぬか!?」
「「ふぇ!?」」
ソフィアの言う通り、暴走している巨大アンドロイドは確かにこちらに向かってきていた。
「なあ!!。あれを破壊しても良いか!?」
『カマイマセン』
「仕方ないが、これ以上この町には被害を出させるか」
「うん」
「決まりじゃな」
楓は、エンジンをかけアクセルを踏む。
「まずは、この町から注意を引くぞ!!」
「分かった!!」
「うむ!」
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