第5話 魔法の弾丸
武器の調達を済ませ、再び家に戻る。
「まあ武器は手に入ったが…」
「刀なんて初めて握ったよ…」
「当たり前だ。銃に刀なんて、日本じゃ銃刀法違反だからな」
「そうだよね」
「それはそうと」
「うん」
「これからの俺たちの動きを考えなきゃな」
「だね」
「とりあえず、防具はこれで良いみたいだが」
「私たちも防具とかのステータスも見れれば良いんだけどね」
「そうだなぁ。鑑定士とか言ってたか?どうやったらなれるんだ?」
「ルーペとか使ってみたいな」
「うさ耳店主は使ってなかっただろ」
「確かに」
2人は、防具屋の店主が言っていた鑑定士の事を考える。
「あーその辺りのチート能力も欲しかったなぁ」
「そうだねぇ」
2人は、再び考える。
「例えばさ、スキルの名前を言ったら使えるとかはない?」
「鑑定!!みたいなとか?」
「そうそう」
「それでできたら…」
「楓?」
「どうやら有咲の言ってる事は正しいみたいだ」
「ふぇ!?」
「ああ。今、使えてるっぽい」
「えぇ!?」
今、楓の目に映っているのは有咲なのだが、有咲の姿以外にも他のも見えている。
『物理攻撃力9999+ 魔法攻撃力9999+ 物理防御力9999+ 魔法防御力9999+ 敏捷性9999+ 運9999+』
「いや!!チートのステータスじゃねぇか!?」
「っ!?どうしたの急に!!」
有咲のステータスを鑑定した結果、全てカンストしていたのだった。
「私も楓を鑑定してあげる!!。鑑定!!」
有咲も、楓を鑑定する。
『物理攻撃力9999+ 魔法攻撃力9999+ 物理防御力9999+ 魔法防御力9999+ 敏捷性9999+ 運9999+』
「チートのステータスじゃない!!」
「俺もかいっ!!」
ステータスは、2人とも同じであった。
「なるほどな。俺TSUEEEE系のやつか」
「私TSUEEEE系のやつね」
2人は、転生2日目にして、自分達のステータスを知った。
「まぁこの刀も使うとして、やっぱり銃も使うべきか」
「そうだね。私たちは戦闘経験なんてないから、近接戦闘って難しそうだよね」
「銃はあれだけか?」
「探してみよっか」
2人は昨日見つけた銃の他に、別のがないか探し始める。
「うーん。あの木箱だけなのかなぁ」
「だなぁ。どこかに無いものか…」
ある程度は、昨日のうちに散策を終えているため、目ぼしいものはなかった。
「ん?何だこの隙間」
「どうかしたの?」
「いや、この本棚と壁の間に隙間あるじゃん?」
「んー。言われてみればそうかも」
魔法について記されていた本が仕舞ってある棚と家の壁の間に、わずかだが隙間が存在していた。
「どれかの本を引いたり押してみたりしたら動くかもよ」
「そんなスパイ映画みたいな機能がこのファンタジー世界にあるわけ…」
「これとかっ!」
楓の言葉を遮りながら、有咲は一冊の本を引く。
すると…。
ゴゴゴ…。
「「動いたっ!?」」
その本棚は横にスライドし、隠されていた部屋が現れた。
「マジでこの家どうなってんだよ…」
「そうね…」
「それでこの部屋は何なんだ?」
「暗くて何も見えないね」
「さすがに電気はないだろ」
「ん?何だろうこのスイッチ」
有咲は、何かのスイッチを押す。
カチッ
「おい」
「電気…点いたね…」
有咲が、押したスイッチは電気のスイッチだった。
「もう驚くのも疲れた」
「そうだね」
「それで、何なんだこの部屋」
「たくさんあるね…銃」
隠し部屋には、多くの銃が置いてあった。
木箱に入っていた拳銃のようなものや、ショットガン、スナイパーライフルなどがあった。
「もう分からん」
「そうだね」
「ん?何か紙が落ちてるな」
「なんて書いてあるの?」
楓は、隠し部屋に落ちていた紙を拾い上げて、内容を確認する。
「なになに…。フレイムバレットの使い方?」
「なにそれ?」
「この銃のことだろうな。まずは、赤色の炎を弾に込めます。その後、赤色の炎を込めた弾を発砲。その後は、緑、橙、青、紫、黄、藍色の順番に先ほどの手順を行う。だってさ」
「ねぇこの色って私たちの魔力だよね?」
「ああ間違いないだろう」
2人が冒険者ギルドの受付にて水晶に映った虹色の炎と関係があるのだろう。
「ねぇやっぱりこの家自体や、家の物は私たちのなんじゃない?」
「確実にそうだろうな。あのエルフの受付嬢が言うには、虹色の炎の魔力は見た事無いって言ってたからな。この銃も俺たちのものなんだろう」
「待って。他にも紙があるよ」
有咲は、他にも落ちていた紙を拾い上げる。
「何か絵が描いてある…。これって確か木箱に入っていた銃の絵じゃない?」
「言われてみればそうかも」
有咲が拾った紙には、木箱に入っていた拳銃の絵とその使い方について書いてあった。
「赤色のマガジンを使用後、緑、橙、青、紫、黄、藍色の順に使用する。これはパズルの魔法である。だって」
「なんだパズルの魔法って?」
「さあね。でもなんか図を見たら、赤色のマガジンから緑と青に枝分かれして、緑からは橙、黄色、青からは紫と藍色になっているよ」
「確かに、なんかパズルっぽいな」
「これ通りにすると、威力倍増とか?」
「かもな。それで基本的なルートは、最初にあった赤、緑、橙、青、紫、藍色の順なんだろうな」
「頭を使う魔法だね」
「魔法は頭を使うだろ」
「それもそっか」
2人は、紙を片付ける。
「それでひとまずは、木箱に入っていた銃と7種類のマガジンで良いか」
「私もそれで良いかなあ」
2人は木箱に入っていた拳銃を手に取る。
「というかあれは?。ホルスター?ってやつはないの?」
「この部屋のどこかにありそうな気がするけどな」
「あっもしかしてこれ?」
「おっあるじゃん」
有咲は、ホルスターを見つける。
「これって太ももに着けるやつだよね?」
「ハリウッド映画で見る特殊部隊がつけてる奴だな」
ゴソゴソ…。
「ねぇ!見て見て!!。なんかエロくない!?」
有咲は、ドレスのスリットからホルスターをつけた太ももを楓に見せつける。
「有咲…」
「そんな可哀そうな子を見る目で見ないで!!」
「いやね。綺麗だとは俺も思うよ。でもさ、空気をさ」
「だって!!こんな姿を生で見ることは無いんだよ!!」
「まあそうだけども」
「楓は、私の脚好きでしょ!!」
「俺は有咲の全てが好きなんだよ」
「もうっ!!嬉しい事言ってくれて!!」
「怒っているのか喜んでいるのか分からん」
楓は、有咲を宥めながら拳銃とマガジン、ホルスターを持ち隠し部屋を後にする。
「なぁ有咲」
「んー?」
「実際に魔物を狩ってみないか?」
「そうだね。怖いけどやってみなきゃだよね」
「とりあえず、射撃訓練も兼ねてやってみるか」
「うん!!」
拳銃などを持ち、扉の前に立つ。
「えっとこの扉を押すとあの草原に出るんだよな」
「そのはずだよ」
「じゃあそっちの方に行ってみるか」
「確かに、そっちは魔物とか居そうだもんね」
楓は、扉に手を掛ける。
「じゃあ行くぞ」
「うん!!」
扉を押し、外に出る。
「広いなぁ」
「広いね」
広大な大自然が広がっている草原にちらほら魔物らしきもの居る。
「イノシシか?」
「イノシシだね」
体長1メートルほどのイノシシらしき魔物がいた。
「すこし近づいてみるか」
「大丈夫だよね」
「分かんないけど、家に突っ込まれても嫌だからな」
「そうだね」
「それにこの銃の射程もイマイチ分かんないし」
「銃の素人が分かる訳ないもんね」
「その通りだ」
2人はイノシシらしき魔物に近づく。
「ねぇあの魔物にも鑑定できないの?」
「ああ。あの魔物のステータスを知れるのは良いかもな」
「じゃあやってみるね。鑑定!」
有咲は、魔物のステータスを見る。
「『ワイルドボアLv.2』だって」
「レベル?」
「うん。レベルがあるみたい」
「俺たちにレベルあったっけ?」
「今、見てみよっか。鑑定」
有咲は、楓を再び鑑定する。
『月詠楓、Lv.MAX』
「いや何レべよっ!?」
「うぉ!どうした!?」
「楓のレベルはマックスだって」
「いやマックスは何レべだよ」
「私も知りたいよ」
「じゃあ有咲も見てみるか」
「お願い」
「鑑定」
今度は、楓が有咲の鑑定を行う。
『月詠有咲、Lv.MAX』
「いや何レべだよ!!」
「そうでしょ!!」
「有咲のレベルもマックスだったぞ」
「上限が分からないのにマックスって言われてもね」
「全くだ」
2人にもレベルが存在していたが、2人揃ってMAXだった。
「とまあ、レベルは分かったし、戦ってみるか」
「う、うん」
「まずは、俺が戦ってみるわ」
「大丈夫なの?」
「分からん。分からんけど、有咲を危ない目に合わせたくないからな」
「それは私だって一緒だよ」
「有咲は優し過ぎんだよ」
「その言葉そっくりそのまま返すよ」
「こればっかりは頼む」
「…分かった」
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