パート2
〇恋活パーティー会場・中・夜
勇気がジャケット姿で椅子に座っている。
目の前には飲み物が置けるテーブルがあり、周りの席が見えないよう、一部以外全て仕切りで囲まれている。勇気の横には誰も座っていない椅子がある。勇気は少し緊張した様子で座っている。少しすると、喜美子(23)が入ってくる。
喜美子「あ、こんにちは~、はじめまして、喜美子と申します」
勇気は慌てた様子で体を喜美子に向けて立ち上がる。
勇気「あっ、はじめまして、勇気です」
一瞬の間があり、勇気がまたしても慌てた様子で口を開く。
勇気「っあ、すみません、どうぞどうぞ」
喜美子は笑いながら椅子に座り、手に持っていたお茶のグラスをテーブルに置く。
勇気も笑いながら椅子に座る。
勇気は喜美子に体を向けているものの、喜美子の体は前を向いている。
喜美子はお茶を一口飲む。
勇気「・・・あの、喜美子さんは、お仕事は何をされてるんですか??」
喜美子「ベンチャー企業で人事をやってます」
勇気「へぇ~、ベンチャーで人事、凄いですね」
喜美子「いえ、全然、ただただエクセルを使いこなしていく感じなので」
勇気「いやぁ~、それが難しいじゃないですかぁ~、僕なんて関数カウントイフくらいしか使えないですもん~、あとはサムとかぁ~」
喜美子「ああ、そうなんですね、パソコンあまり得意じゃないんですか?」
勇気「いえ、まぁ、人並にはできるかなぁ~って感じです、エクセルだけホントに無理でぇ~」
喜美子「へぇ~、そうなんですね、エクセルは全社会人必須のスキルだと思ってたので、学生のうちにマスターしといたんですよね私」
勇気「お~、めちゃめちゃ優秀じゃないですかぁ~、凄いな」
喜美子「いえいえ」
しばし沈黙が流れる。
勇気は一生懸命話題を考えている様子で座っている。
喜美子は平然と、時折お茶を飲みながら前を向いて座っている。
勇気「・・・あの~、喜美子さんは」
喜美子「竹本です」
勇気「あ、はい?」
喜美子「私、苗字が竹本と言います。苗字でお願いできますでしょうか」
勇気「あ、はい、すみません、、、で、その、竹本さんは、お休みの日は何をされてるんですかぁ~??」
喜美子は溜息をつきながらスマホを取り出してイジり始める。
勇気は唖然とした様子で喜美子を見ている。
喜美子はまた溜息をつきながらスマホを耳元にあてる。
喜美子「あ?わたし。そう、お前が勧めてきた恋活パーティー?来てるんだけど、マジクソなんだけど、ああ、何かカウントイフとサムしか使えないらしいのよ、エクセル、うん、うん、ああ、何勧めてきてくれちゃってる訳?時間返して、マジで、ああ?他にも男いる?ああ、あああ、なるほどなるほど」
喜美子は溜息をついてから続ける。
喜美子「分かったよ、とりあえず残ってみるよじゃあ、ああ、はい、はい、また後で電話するわ、ああ、するから、ゼッテェ出ろよ?あん、ああ、ん」
喜美子は溜息をつきながらスマホをポケットにしまう。
再び沈黙が訪れる。
勇気はずーっと喜美子を見ている。
友木「・・・あのぉ~」
そうしていると、真上のスピーカーから声が聞こえてくる。
アナウンス「それではトークタイム終了です。皆様、次の席にお移りください」
勇気「・・・あ、、、」
喜美子は物凄い勢いで立ち上がり、物凄い勢いで勇気の前から消えていく。
勇気はただただ茫然と喜美子の去っていった方向を見つめている。
〇ボクシングジム・中・昼
上半身裸の勇気が黒人に思いっきり窓ガラスに投げつけられる。
勇気は窓ガラスを突き破り、そのまま床に倒れ込む。
ジムの中央に大きな窓ガラスがあり、その真ん中辺りが粉々になっている。
勇気がその前に倒れ込んでいる。
勇気の上半身が血だらけになっている。
黒人は勇気の前まで歩き、勇気に顔を近づけ、物凄い形相で睨みつける。
黒人「What are you doing man!!!???オドオド!!!スルナ!!!!」
勇気は苦しそうな表情で黒人を見上げるが、何も言葉が出てこない。
黒人はそのまま勇気を掴み、目の前にあるもう1つの窓ガラスに思いっきり投げつける。
勇気はまたもや窓ガラスを突き破り、床に倒れ込む。
勇気はこの上なく苦しそうに唸り声を上げている。
黒人は勇気のとこまで歩いてしゃがむと、また勇気の髪の毛を引き上げる。
勇気はこの上なく苦しそうな表情で黒人を見上げる。
黒人「ツギガ、ラストチャーンス」
勇気は今にも泣きそうな表情で黒人を見ている。
黒人「アイ、ツカメナカッタラ」
黒人は親指を立て、思いっきり自分の首を切る動作をしながら大きく目と口を開き、
黒人「くぅーーーーーーーーー、ポッ」
黒人は頭を横に傾け、死んだ表情をする。
勇気は今にも泣き出しそうな表情で歯を強く噛み締める。
黒人は真顔に戻り、しばし勇気を見つめる。
勇気はそのままの状態で黒人を見つめ返している。
黒人は勇気の頭を掴み、目に思いっきり力を込めて勇気を見つめる。
勇気はまるで黒人からパワーを注入されているかのような様子で目を閉じる。
少しすると、黒人は目を開き、勇気の頭を優しく撫でると、ジムの奥へと消えていく。
勇気は真剣な眼差しで黒人が立っていた空間を見つめながら大きく深呼吸をする。
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