第6話 二人は

作者諸事情により投稿が遅れました。

今後も投稿頻度は遅いと思われます。

誠に申し訳ございません。



「あ、はい!」

俺、桐生星牙のクラスメート、そして見習いのマネージャーとなった青海朱歌が目の前をかけていく。

はぁ、なんでこんなことになったんだか………

桜木さんの古い知り合い(ウクトさん)の知り合いらしい青海は、何故だか俺たちのマネージャー見習いになってしまった。

……………めんどうくさい……

っと、本音が出てたな。

外では「アイドル」っつー面をつくらねーと、桜木さんに叱られるし。

…ホント難儀なもんだ。


俺がアイドルになりたかった理由は、見て、あの時を思い出して欲しかったからだ。…すっかり不仲になっちまった父親と、母親に。

まぁ、ほぼ自分のためだ。ケンカばっかしてる親を弟に見せたくないってのも多少はあるが、八割ぐらいは自分のため。

二人に見てもらえれば、また、元のように戻るんじゃないかと思ってた。あの、笑い声が溢れるあの時に、家に。

…………笑っちまうような滑稽な話だが、ZeTuber募集の広告を見た時、ふと、そう思ってしまった。

まぁ、戻るわけないわな。逆になんで戻るって思ったんだか…。

それは置いといて、なんでクラスメートがマネージャー見習いになるんだって話だよな…

こいつじゃなくてもすごいやついっぱいいたと思うんだが。桜木さんは話を聞いてたって言ってたが、なんのだ?

見た目は黒髪ロングにメガネ………典型的な陰キャっぽいが、意外とクラスメートとかとは関わっているっぽいし、陰キャ、って言うほどでもないのかもしれないな。


「……………青海さん。これ……ちょっといいかな…?」

出張的な感じで動画編集をしてくれている「buritt」のカイさんが、相変わらずゆったりとした口調で青海を呼ぶ。

「はい!」

先ほどよりもなぜか楽しそうに返事をし、カイさんの元へ向かう。

気になったから、ちょっと覗いてみる。

「………………っ!?」

話してる内容は専門用語っぽいのが多くて、よくわからない。でも、今目の前で行われている作業がすごいのは、わかった。

迷いなく、滑らかにキーボードを叩く青海の手。それは、慣れている奴の動きだった。


×××


「…………………っ!?」

隣で星牙が驚いているのがわかる。俺自身も驚きを隠せないでいるのが分かる。

俺の頰がにやけていく。この子、ほんっと〜に、面白いな。

「彗くん、ちょっといい? 衣装のことで――」

結構邪悪な笑い顔になった時、スタッフさんが俺を呼ぶ。…………残念ながら、時間切れのようだ。もう少し見ていたかったが、しぶしぶその場を離れる。

「行くぞ星牙。」

その時ちょうど桜木さんが帰ってきたので、星牙も引っ張って連れて行く。

結構乱暴に連れて行っているから、あとで何か言われそうだが、サボりだとかで桜木さんに怒られないようにしてやってるんだ、逆に感謝してほしいな。

「青海朱歌、ね。」

「何か言いました? 彗さん。」

「ん、いーや、なにも。」

午後の撮影も頑張るかー。

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