第5話 マネージャー見習いのシゴト。




「朱歌ちゃん、ちょっと――」

「はい!」

「朱歌ちゃん、こっち――」

「ただ今!」

「見習いさん、ここに――」

「は、はい!」

マネージャー見習いって、意外と大変…っ!

青海朱歌、今日も今日とて、マネージャー見習いの仕事をしています。今日は息つく暇もないほど、駆け回っています。

マネージャーの桜木さんが、今少し買い出しに出かけているので、現場も少し慌ただしくなっています。

「……………青海さん。これ……ちょっといいかな…?」

「buritt」のカイさんが、私を呼ぶ。

「はい!」

カイさんってことは、編集のことだよね? 編集の手伝いって私好きなんだよなぁ〜! 嬉しい!

そんなことを考えながらカイさんの方へ向かった。


――

―――


「…………………つかれだぁ……………。」

くでーっと家のソファに寝っ転がる。

契約通り、七時には帰ってこれてるし、土曜日もお休みがある。だが、一時間近くの時間での疲労がすごいのだ。重い荷物をずーっと持って立ってたこともあったし、物を配達するために、駆けずり回ってた時もあった。

でも、止めることはしない。親友と、まこっちゃんと、そう決めたから。

「ねぇ朱歌。一つの仕事に就くってことは、責任を持つってことだから、簡単に辞めないようにしよう?」

真剣な顔でそう言ってきたまこっちゃんの真剣な顔を思い出す。

「――よしっ。」

気合いを入れて、ソファから立ち上がる。

「まこっちゃん、ちょっと行ってくるね。」

大声でそう言う。すると、すぐにまこっちゃんから言葉が返ってきた。

「うん。八時だよね、帰ってくるの。」

「うん! 行ってくるね!」


×××


「いってらっしゃい。」

もうすでに聞こえてないであろう友人にそう言う。

私は、高波真。元ZeTuberグループのアウルロスのメンバーの一人、「ウクト」であり、「黒白コクビャク」の二人共と親友っていうなかなかな経歴を持っている。

でも、まさか元アウルロスの「ろぅか」のところで、私の親友の一人である朱歌がバイトすることになるとは……ね。思いもよらなかったよ。

………よし。朱歌は八時に帰ってくるんだったよね?

私のやることといえば……

風呂沸かしと、夕食の用意と、洗濯物の取り込みかな。あ、そうそう、洗濯物は取り込んだらたたむとこまでしないと。

疲れて帰ってくると思うから、夕食は朱歌の好物にしようかな。

美味しそうに食べている朱歌を想像して、思わず頰が緩む。

「♪ふんふーんふふーん」

鼻歌を歌いながら、台所へと向かっていった。

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