第2話 バイト……?

長らく更新ができず、申し訳ございませんでした…。

亀のようなゆっくりペースにはなりますが、更新していこうと思います。


——————


「うっ、わぁ…」

すごい。大きな桜の木が、校門近くに立っている。幹も太くて、私が両手を広げても届かないんじゃないかな。

インパクトのあるそれの前で足を止める人は少なくない。比較的後ろから桜を見ていた私の視界に、ある二人が入ってきた。

ケンカしてた、あの人たちだ……っ!


あの後、家に着く前、信号待ちで暇だったから、 「ZeTubeジーチューブ」を見ていたら、“「彗星コモン」自己紹介!”という動画が目に入った。面白そうだと思い、何気なーくその動画をタップしたのだが。…そこには、ケンカをしていた二人の姿があったのだ。

所属事務所は「story hopeストーリー ホープ」。ZeTuber界でも一位と二位に君臨すると言われる、「burittブリッジ」、「黒白コクビャク」の所属事務所だったのだ。

つまり、二人は、ZeTuber界のトップ二のいる事務所の、新人って事だった。

芸能界でも活躍しているアイドルらしいから、握手会とかライブとか頻繁に行ってるらしい。

登録者数はすでに五、六万人に達しているみたいだった。

すごいなぁ。

……………って、いやいやいや、なんで二人がこの高校にいるの?? なんで?

――事務所側の思惑、かな?

なんとなくぼんやりとそんなことを考えていると、周りの人が徐々に少なくなっていた。もう二人もおらず、みんな入学式の会場に行っているみたいだった。

やばい、早く行こ。


×××


「一の二、一の二〜っと。」

うーん、どこだろ。二階だったはずなんだけど……。ん? あれって……

「まこちゃん?」

「あれ、朱歌?」

ハーフの母親譲りの金髪を揺らして、まこちゃんこと、私の親友の一人、高波真ちゃんが振り返る。

「朝ぶり〜。そういえばさ、朱歌って何組〜?」

「二組だよー。」

「え、私もなんだけど。嬉し。」

「だね!」

そんなたわいもない会話をしていると、あっという間に教室に着いた。

先生が来るまでまこちゃんと話をして、早速自己紹介の時間になった。

おうみ、だから私ははじめの方。

「えと、青海朱歌といいます。好きなものは本です。よ、よろしくおねがいします。」

早口でそれだけ言うと、すぐに座る。パラパラとまばらに拍手される。よかった…

桐生星牙きりゅうせいがです。得意な事はダンスです。一年間よろしくお願いします。」

ざわざわ、と教室の人たちが話しはじめる。

「桐生星牙って、あの?」

「story hopeの新人の――」

――パンパン

先生が手を叩く。

「騒がない騒がない。ほら、次の……久崎さん、よろしく。」

先生の一言で、自己紹介が続いていく。

「――高波真たかなみまことです。上京してきたばっかりですので、わからないことがあったら教えて貰えると嬉しいです。」

さすがまこちゃん。堂々とそう言っていて、あこがれちゃうなぁ……

でも、何故。あの、桐生くんが私の後ろなんでしょうかねー。……まぁ、分かります。出席番号順なんですよ。

私の席は、横六列あるうちの左側、廊下側から二つ目、そして縦六列のうちの前から二つ目。

そして、まこちゃんは、私の左隣。

八番と十四番だからそりゃそうか。嬉しいな〜!

っと、駐輪場の説明してる! やばい、聞かないと。


×××


「ねぇ、バイトしない?」

まこっちゃんからそう言われたのは昨日、荷物の整理が一区切りついた時だった。お金は稼げるときに稼いじゃったほうがいい、とも言っていた。

でも、条件がかなりあるからなぁ…

まず、高校生だから日中無理でしょ。そのあと部活あるからプラスで二〜三時間。それにできれば七時には家に帰りたいし…。ああ、あとそれに土曜日は休みがいいし。

そんなことを思いながらバイトを探していると、女の人が話しかけてきた。

「すいません。」

「はい?」

道案内かな? 役に立てればいいけど…

「バイト、探してます?」

「……………はい?」

思っても見なかった言葉が女の人から飛び出した。

この人どっかで見たような…

「うちでバイトしませんか?」

「え?」

「少し人手が足りなくて…空木高校うつぎこうこうの生徒さんですよね? その生徒さん対象で探してまして……」

空木高校うつぎこうこう。私が通う高校の名前である。私たちの高校を対象に?

「ちなみに、バイト代はこれくらいでして。」

!? 多い!

「話を聞かせてください!」

気がつけばそう言っていた私なのであった。

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