第5話 自分の居場所
自分の居場所
ファミレスで食事をした後、コンビニで飲み物、つまみ、菓子を購入。
雄大の部屋で今日の楽しかった事でひとしきり盛り上がった後、
「……聞こうか。……言いたくない事は言わなくて良いぞ。」雄大が口火を切る。
唯奈から、ぼそぼそと話始めた。さっきの明るい顔は今にも泣きそうな顔に変わった。
「私、お父さんから嫌われてる、、、。妹からも。……お母さんからは最近、避けられてる。
多分、あたし、お父さんの子じゃ無い、、、。お母さん、最初は違うと言ってたけど、、、最近は、、、何も言わなくなった、、、
家族であたしだけ、顔も、身体も、性格も違う、、、だから、、、だから、、、おとうさん、、、あたしが憎い、、、みたい、、、。」
雄大、じっと聞く。香奈は俯いたまま、唯奈の肩を抱く。泣きそうになるのを堪えているようにも見える。
「小学校の頃は、よく殴られた、、、。中学校になったら罵られることが増えた、、、。高校は黙ったまま体当たりされるようになった、、、」
唯奈の涙が膝辺りに落ち始めた。
「……ごめんなさいって言うと、、、妹がチッと舌打ちして、、、睨むの、、、で、、、」
そこまで言うと、唯奈はシャツの裾を持ち上げ、
「自分で刺したの、、、」紫色になった皮膚。お腹にいくつもの傷。まだ、赤い傷もある。
「太ももにもあるの、、、こうすると気が紛れるの、、、
過食にもなったし、、、。ご飯、減らされたりした、、、バイト始めた、、、お菓子やパン、沢山買う為に、、、
……どんどん、太ってちゃって、、、お父さん、酷いこと言いながら、突飛ばしたりしてきたの、、、」す~と息を吸い、ふ~と吐く唯奈。
「で、10月の雨の夜、、、家を飛び出して、、、 携帯だけ持って、、、走って、、、走って、、、走って、、、香奈に電話して、さよならって、、、橋の上まで走ったの、、、」
「……うん、、、唯奈からの電話があった時、私も家を飛び出たの、、、今、何処?って叫びながら、、、携帯で叫びながら、、、」と香奈。
「……かなり走って、、、走って、、、学校近くの橋の上で、、、ようやく、唯奈をみつけた、、、」香奈も泣き始めた。
「橋の上で、、、、立ったまま、、、川を見てたの。香奈が来るまでに飛び込まなくちゃって、、、さようならって、、、
……香奈が、、、香奈が来ちゃったって、、、思ったら、、、その場に座っちゃって、、、」
「唯奈を見つけたら、唯奈っ!唯奈っダメっ!私を一人にしないでっ!って言いながら、言いながら、、、」
「二人で抱き合って泣いたの、、、ずっと、、、ずっと、、、ゴメンって、、、ごめんなさいって、、、」
「……で、唯奈を家に連れて帰ったの、、、。お父さんとお母さん、何も言わず入れてくれて、、、お風呂にも入れてくれて、、、
しばらく居て良いよって、唯奈を迎えてくれたの、、、。唯奈のお母さんにも電話して、、、了解、貰って、、、
必要なものを取りに行くときは、香奈のお母さんが連いてってくれて、、、今もうちにいる、、、」
唯奈が堰を切ったように、泣き出した。号泣した。香奈に縋りつき、泣いた。唯奈を抱きながら。香奈が
「うちのお父さん、警察官で、、、唯奈のお父さんへ電話して、『唯奈さんを暫く預かりますって、、、これ以上何かあれば、生活安全課へ通報します』って、、、言ってくれたの。」
唯奈が香奈の顔を見て、泣き顔のまま微笑む。香奈も微笑みを返す。
話に聞いた事はあるものの、こんな家庭、家族が本当にあるのかと、死にたいと思うまで追い詰める家族って何なんだと、
血の繋がらない仲の良い親子は、世の中に沢山いるじゃないかと、みんな家族じゃないかと、雄大は憤る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます