7年前【十夢が話す真実】①

愛ちゃんは、お風呂から上がってお水を飲んでいた。


「お酒飲もうか?」


「うん」


俺と愛ちゃんは、ソファーに並んで座る。


「7年前のホテルに来た話だよね?」


「うん」


「話すね」


俺は、ビールを開けてグラスに注いだ。


愛ちゃんを見つめながら、ゆっくりと話し出した。


.

.

.

7年前ースイートルーム


ブー、ブー


「もしもし」


家のソファーで横になってると純さんから電話が鳴った。


『ブランドの立ち上げの出資考えてもいい』


「本当?」


『ただし、条件がある』


「条件って?」


『俺の女を世話しろ』


「どういう意味?」


『俺の、影武者になれ!後、今日彼女を一人にしてるから行ってやって欲しい』


「それは、純さんがいた方がいいんじゃないの?」


『無理だ!keikoが二人目を妊娠して悪阻がきついみたいだ!一緒には、いれない』


「俺は、その人に何をすればいいの?」


『変な虫がつかないように見張っていてくれたらいい!名前は、香川愛だ!』


「変な虫?他に男をつくらせないって事?」


『そうだ!愛は、俺のものだ!十夢も手を出すなよ』


「わかってるよ」


『じゃあ、ホテルの名前を送る』


どんな女の子なんだろうか?


純さんが、放したくないような女の子…。


俺は、タクシーを呼んだ。


ホテルに、やってきた!


ビーー


現れたのは、可愛らしい感じの女の子だった。


黒のセクシーなドレスよりフワフワしたのが似合いそうなのに…。


【ゴミを捨ててくれ】


と入っていたゴミは、それか!


この子、避妊されてないんだ。


すぐに、そう思った。


この袋には、明らかにタオルが入ってるのがわかる。


汚さない為のタオル、そう考えたらこの子は避妊されてない。


愛ちゃんは、思ったよりもいい子だった!


泣いたり笑ったり怒ったり、忙しい女の子で見てて飽きなかった。


これが、純さんを放さない魅力なのだろうか?


一緒に過ごして、パンケーキを食べて帰宅した。


ブー、ブー


「はい」


『送ってくれたか?』


「今、ちゃんと」


『手、出してないよな?』


「出さないよ」


純さんは、そう言うと暫く黙って口を開いた。

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