7年前【十夢が話す真実】②

『愛は、俺が作り上げたんだ!だから、絶対に手を出すな』


「作り上げたって、ロボットじゃないよ!人間だった」


『十夢は、気にしなくていい!ただ、愛を見守ってるだけでいい』


「どういう事?」


『出資するかわりに、愛が住んでる街に行くのが条件だ』


「何で、そんな…」


『言っただろ?変な虫をつけないためだ』


「確かに、可愛らしい感じの女の子だったけど…。ずっと、不倫相手にしとくつもりなの?」


『不倫相手じゃない、彼女だ!』


「子供が出来たらどうするの?」


『金の心配は、させない』


「お金って」


『文句があるなら、出資しないぞ!十夢』


「いや、わかった。引っ越すよ」


何とかして、純さんから少しでも守ってあげようと思って俺は、こっちに来た。


一ヶ月に一度、この街に俺に会いに来るフリをして純さんはやってきた。


【十夢、22時に…ホテル】


そうメッセージが、送られてきた。


俺は、ホテルに愛ちゃんを迎えに行く。


ゴミ袋を差し出されて、舌が動いてるのがハッキリわかるキスを見せつけられる。


俺は、愛ちゃんを家まで送り届けて、帰宅したマンションのゴミ箱にこれを捨てに行く。


だんだんとイライラしていた。


まるで、鳥籠に閉じ込められているように思えてもきた。


それでも、出資してもらってる身としては文句は言えなかった。


そして、何より純さんは俳優とモデルとしては一流だった。


そんな日々が続いて、12月26日の20時に、電話が鳴った。


ブー、ブー


「はい」


『十夢、悪いけど愛を迎えに行ってくれ』


「どこに?」


『……イルミネーションのとこだ』


「今日は、忙しくて…」


『明日、愛の誕生日なんだ』


「えっ?」


『悪いけど、頼むよ』


「何で、行けないの?」


『あー。早姫と姫希が体調崩して!keikoも調子悪くて』


「そんなの、最初からわかってたよね?」


『わかってたけど、行けるかなって思ってたんだよ!だけど、無理になっちゃったんだ』


「愛さんに、連絡は?」


『出きるわけないだろ!あっ!ごめん。早姫がグズリだしたから』


プー、プー


電話は、勝手に切れた。

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