約束?

「約束って何?」


「7年前に、愛ちゃんの事を見守れるように近くにいろって言われたんだ!それが、条件で出資するって言われて」


「それで、こっちに?」


「元々、ネット販売を考えていたから、場所は沖縄でも北海道でも何処でもよかったんだよ!で、2000万出資してもらえたからこっちに来たってわけ」


玉ねぎを流しで、剥いてる。


「ハンバーグつくってあげる。借りるね」


「うん」


十夢は、まな板と包丁を取り出した。


「十夢の人生、私のせいで狂ってるよね?」


十夢は、その言葉に驚いた顔をした。


「むしろ、逆だよ」


「逆?」


「うん、愛ちゃんのお陰で俺は幸せだよ」


そう言って、玉ねぎをみじん切りしてる。


「嘘だよ」


「嘘じゃないけど」


十夢は、火をつけてバターをフライパンに入れる。


玉ねぎを丁寧に炒めてる。


「だって、彼女だって作れないじゃん」


「言ったよね!俺は、愛ちゃんを受け止めるって」


玉ねぎとバターの香りが、広がってく。


グゥー


何も答えない私に変わってお腹が返事をした。


「お腹すいたんだね」


十夢は、ニコッて笑った。


炒めた玉ねぎをお皿に置いて冷ましてる間に、私を見つめた。


「俺、ちゃんと言うね」


「何?」


「愛ちゃんと初めて、スイートルームで会った時から気になっていた」


「えっ?」


「それで、ちゃんと好きだって思ったのは12月27日の愛ちゃんの誕生日」


十夢は、そう言って私の肩を掴んだ。


「26日から、泊まりで誕生日するって約束、嘘つかれたでしょ?」


「うん」


思い出すと涙が込み上げてきた。


「まだ、クリスマスのイルミネーションが残ってる場所で待ち合わせだったね」


「うん」


「愛ちゃんは、23時半まで純さんを待っていた」


「うん」


「日付が変わる前に、やってきたのは俺だった」


「うん」


「愛ちゃんの手も体も冷たくて、俺、守ってあげたいって強く思ったんだよ」


十夢の言葉に、あの日の惨めな私が甦ってきた。


約束通りにやってきて、5時間近く待った。


雪は、降ってなかったけど寒くて…。


十夢が、抱き締めてくれる。

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