十夢との出会い③

「ごめん、余計な事言った!行こうか」


「うん」


十夢とは、背伸びしなくていれる。


きっと、住む世界が同じだからだ。


十夢は、ゴミ袋を持っていた。


ホテルで、鍵を返して、車の後部座席に、ゴミ袋を乗せた。


助手席を開けてくれた。


「ありがとう」


「いえ、閉めるよ」


「うん」


バタンと閉めた。


優しくて、優しくて、堪らないぐらい、優しくて…。


車を走らせていく、暫くして車を停めた。


「パンケーキだっけ?」


「これね!」 


スマホを覗き込まれて、ドキッとした。


横顔が、純に似ているからかも知れない。


「パンケーキかー。甘くないのもあるんだね」


「駄目かな?」


「いいよ」


キスするぐらい近い距離。


「じゃあ、行こうか」


車を降りて、パンケーキの店へ行く。


「美味しそうだね」


「本当」


甘くないパンケーキを食べた。


食べ終わると、お店を出る。


「パンケーキが朝御飯になるとはね」


「意外だった?」


「うん!甘くなくて、よかった」


そう言って、十夢は笑っていた。


「家まで、送るよ」


「うん、ありがとう」


私は、十夢に家まで送ってもらったんだ。


カニカマとビールを平らげて、泣いていた。


どっちを選べば正解かなんてわかってるのに…。


私は、冷蔵庫からまたビールを取り出した。


【あなたの目には、私は映らないの♪優しくしないで♪】


誰だろう?


私は、スマホ画面を見ずに電話に出る。


「もしもし」


『十夢』


「どうしたの?」


『今日も泊めて』


「何で?」


『いいじゃん!ソフレ』


「わかった」


電話が切れたら、インターホンが鳴った。


ガチャ…


「開けて」


十夢がやってきた。


「仕事は?まだ、昼だよ」


「終わらせたよ、オーナーだし」


十夢は、紙袋を持っている。


そして、ボストンバック。


「何、これ?」


「やっぱり、昼間から酒飲んでる」


「だって…」


「やる事ないなら、うちで働く?」


「十夢は、何でこっちで店舗出してるの?」


「純さんとの約束だったから!インターネット販売やってるから、場所はどこでもよかったからね」


そう言って、紙袋から食材を出してる。


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