十夢との出会い②
「座れば?」
そう言われて、隣に座った。
こんなドレスまで、着てダサい。
私は、十夢の横に座った。
「純さんとこ、二人目でさ!奥さん、悪阻酷いらしい」
その言葉に、涙が流れてきた。
「あっ、聞いてなかった。ごめん」
十夢は、慌ててポケットからハンカチを取り出した。
「こっちこそ、ごめんなさい」
「避妊してないの?」
十夢に、突然そう言われた。
「それは…」
「その顔とあの袋、避妊してないのわかったよ」
「ごめんなさい」
「何で、愛さんが謝るの?女の子は、受身だろ?悪いのは、純さんだよ」
そう言われた言葉に、胸の中にじんわりと暖かいものが流れた。
「今日だって、何か特別な日でしょ?誕生日とか?」
「違う」
「じゃあ、何?」
「付き合った記念日」
「入籍する前に付き合ったんだ!じゃあ、純さんが悪いね」
「純は、悪くない」
私の言葉に、十夢は私を見つめた。
「どうして?」
「やった後に、聞いたのに…。拒めなかった私が悪いの」
十夢は、私の肩を引き寄せてくれた、私は十夢の肩に頭を乗せる。
「愛さんが、悪いわけじゃない。誘った純さんが悪いんだよ」
優しくて、いい子。
十夢は、出会った時から本当に優しかった。
「二人目は、知らなかった」
「ごめん、知ってると思ったから…」
そう言って、十夢はずっと謝ってくれた。
私の泣き言をずっと飽きもせずに聞いてくれていた。
気づくとベッドに寝てて、十夢はソファーで寝てた。
「おはよう、十夢さん」
「おはよう、愛さん。ああー」
十夢は、大きな欠伸と伸びをしていた。
「朝御飯食べに行かない?」
「いいね!奢るよ」
「ありがとう」
私は、洗面所で歯を磨いた。
入れ違いに、十夢がやってきて歯を磨いた。
私は、ドレスを着替えた。
「その方がいいよ」
十夢は、私を見つめて言った。
「どうして?」
「あの、黒のロングドレスは背伸びしてるみたいだったから…」
「そうだよね」
わかってる、私と純との埋まらない年齢。
9歳も離れてるから…。
その9年はどんな事をしても埋まらない。
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