純との出会い②

「明日、何時だっけ?」


「16時だよ」


「昼間出かけてもいいかな?」


「いいよ!私も、JELLYのファンとオフ会だから!16時に会場前でいい?」


「うん!大丈夫」


「じゃあ、それで!シャワー入ったら?」


「うん、入ってくる」


私は、シャワーを浴びる。


さっきのが、脳裏に浮かんでニヤニヤしてくる。


お風呂から上がって、髪を乾かした。


戻ると、結愛ちゃんは寝ていた。


お水を飲んで、歯を磨いた。


私も横になって、眠った。


私は、この時、20歳だった!


芸能人に興味がなかった。


唯一、結愛ちゃんが好きなJELLYだけを気に入っていた。


だから、純の事もイケメンぐらいにしか思っていなかったのだ。


「おはよう」


「おはよう」


「何時から?」


「もうすぐ出るね」


「わかった」


結愛ちゃんは、九時過ぎには出て行った。


食事なしの素泊まりだった。


私は、昨日の人に電話していた。


『もしもし』


「あの、15時半までなら時間あります!」


『あー、じゃあ!昨日のベンチわかる?』


「はい、多分」


『じゃあ、そこに一時間後に』


そう言われて、電話が切れた。


私は、お洒落をしてお化粧を

してホテルを出た。


けど、サンダルがダサい。


仕方ない。


昨日の場所は、案外簡単に見つけられた。


暫くすると、マスクにサングラスに黒のパンツにベージュのシャツをさらりと着こなした人が現れた。


「ごめんね、待った」


「いえ」


彼は、私と並んで歩いて、高級な靴のお店に連れて来た。


「好きなの選んでいいよ」


そう言われて、手に取った黒い靴を眺めていた。


「これでいいの?」


「どんな服でも合いそうなので」


「そう、わかった」


彼は、その黒い靴を買ってくれた。


「はい、どうぞ」


私は、その靴を履いた。


黒色なのに、安物の黒ではなく光沢のある黒だった。


私の安物のヒールとは、違ってしっかりと足に馴染んで歩きやすい。


お金持ちなんだと思った。


「お腹は?」


「あっ、朝から何も」


「それは、よかった」


そう言うと、彼はタクシーを拾った。


暫くして、マンション前にタクシーが停まった。

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