純との出会い①
ベッドにゴロンと横になって私は、純との出会いを思い返していた。
「今、ついたよ!」
『ホテルで待ってるね』
「OK、いくから」
芸能人に会える街に、私はやってきていた。
結愛ちゃんが、JELLYのハグイベントっていうのがあるとかなんとかで、やってきたのだ。
お洒落をして、10センチヒールを履いて、キャリーバッグをゴロゴロ転がしながら歩いていた。
ドンッ…。
「いたたた」
「大丈夫ですか?お前らな!先、行っとけ」
「すみませんでした」
「大丈夫です」
その顔に、胸が貫かれた。
肩までの髪の毛は、少しパーマが当たっていた。白目と黒目のバランスがちょうどよくて、鼻筋が通った鼻に丁度いいサイズの唇。
立ち上がった瞬間、フワッとした。
「危ないよ」
私は、彼に支えられた。
「あー、折れちゃったね」
ヒールは、折れていた。
「大丈夫です」
「待って、足、靴擦れ」
恥ずかしくて、早くいなくなりたかった。
「大丈夫ですから」
「ほら、乗って」
「えっ?」
「おんぶしたげるよ」
そう言われて、おんぶをされた。
私をおぶってキャリーバッグを転がしてくれてる。
暫く歩いた先に、ベンチがあって座らされた。
「ちょっと待ってて」
そう言って、彼はいなくなった。
戻ってくると、袋を下げていた。
消毒され、絆創膏を貼られた。
「ごめん、時間的にサンダルしかなかった」
そう言って、サンダルを履かされた。
「明日、靴弁償させてくれない?」
「えっ?いいです」
「大丈夫、俺休みだから」
そう言われて、連絡先を交換した。
「靴は、処分しとこうか?」
「あっ、すみません」
「足首は、痛めてない?」
「大丈夫です」
「じゃあ、今日はごめんね!明日、連絡待ってるね」
「はい」
ドラマみたいだと思った。
そんな出会いがあるなんて思わなかった。
私は、彼と別れて結愛ちゃんの待つホテルに向かった。
「お疲れ」
「ごめんね、遅くなって」
「いいよ、いいよ」
「最終の新幹線乗ったけど、迷っちゃった」
「わかる」
「都会は、大変だよ」
「そうだね」
私は、そう言いながら服を着替える。
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