第4話 マリーアントワネットの世界 

 二人はまたセーヌ川に沿った道を歩き出した。するとエッフェル塔が見えてきた。

「あ、エッフェル塔だ!」

「そうだね、見えてきたね」

「本物見たのは初めてです」

「どお感想は」

「やはりすてきですね、まるでフランス映画の中にいるみたいです」

「今でこそあのエッフェル塔は世界中の人たちが見たがる名所だけれど、昔は大変だったんだよ。批判殺到で」

「どうしてですか」

「こういう大きな建造物を建てたため景色が台無しになってしまったとかね。昔は高層建築物というものがなかったからね。19世紀のころだから」

「それでどうなったのですか」

「あやうく取り壊し」

「そうだったんですか」

「しかしその後、世界中で戦争が始まったでしょ。その時このエッフェル塔のおかげで無線通信に役に立つことがわかったわけ」

「それで救われた」

「そういうわけ」

 二人はエッフェル塔の近くまで歩いて行った。すると公園が見えてきた。

「これはシャンドマルス公園ですね」

「そう。ここではねパリオリンピックの時ビーチバレーが行わられるみたいだね」

「どういう風にして行わられるのですか。普通の公園ですが」

「このシャンドマルス公園にパリオリンピックの期間中だけ海の砂を持ってきてビーチバレーの競技場が造られるみたい」

「そういうことですか、でしたらパリオリンピックの期間中ここは海岸のようになるわけですね」

 二人はさらに歩き続けた。するとカフェのそばを通りかかったときいい香りがしてきた。

「どお、この辺で少し休んでいかない」

「あ、いいですね」

 二人はカフェの中に入っていった。

「あー、まるでマリーアントワネットのプチトリアノンの部屋の中という印象ですね」

「そういう印象ね。内部は全体的に白色系統で統一されているし、壁にはいろいろな模様が施されているし……」

「それに何といっても一番楽しくなるのは、その壁の上のほうには古典的な形をした電灯がつけられているではありませんか。つまりろうそくです」

「ろうそくが電球に変わっただけの造りの照明器具だね」

「さらに部屋の中に並べられているテーブルと椅子。これらがまたマリーアントワネットの時代を感じさせてくれます」

「テーブルは二人用の小さめ、椅子もね」

「その椅子は背もたれの部分が円形をしていて隙間が空いた造りになってますね」

「これなら軽く持ち上げられそうだね」

「この部屋の奥には暖炉のようなものまであるではありませんか」

「あ、ほんとだ」

「まさにマリーアントワネットの世界です」   つづく

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