第3話 セーヌ川が見えてきた
「ほら、あれがセーヌ川だよ」
「確かパリオリンピックの時、セーヌ川でスイミングの競技が行わられるのでしたね」
「そうみたいね。パリ市には海がないからね」
「それで川の中にスイミングの競技用の浮遊物があちらこちらに浮かんでいるのですね」
「そうね、その上にパリオリンピックのシンボルマークのようなものが描かれているでしょ」
「エッフェル塔をデザインしたマークですね」
「パリオリンピックの時このあたりのセーヌ川の岸辺の道路は観客席になるそうね」
「ではパリオリンピックの時今私たちが歩いているこの道は、最高の観戦場所になるのですね」
「そうみたいだね。この川岸に観客がずらりと並んでその眼下で水泳競技が行わられていくみたいだね。ただ普通のスイミングの試合はパリ市の北西にあるサンドニという市にあるフランスの国立競技場の西隣にある水泳競技専門の施設のアクアティックセンターで行わられるわけだけれどね」
「今度そこにも連れて行ってください」
「水泳の試合に興味があるの?」
「はいあります。私がこれからこの出演をさせてもらう主人公の女性は何といっても海軍の女性ですからね。私はいつも自分が演ずることになった登場人物にできるだけなりきってしまいたいと思っているからです」
「確かにそういう気持ちが必要だね。自分も登場人物そのものになってしまう。これはとても大切だと思う。そうすることによっていい声が出せると思う」
「そうだと思います」
「このアクアティックセンターだけど、パリオリンピックのために新しく改築されたそうだから私も見に行ってみたいよ」
二人はここで立ち止まり川をじっと見つめていた。
「それからね、このセーヌ川でオリンピックの開会式が行わられることになったみたい」
「オリンピックの開会式って陸上競技が行わられるところではなかったのですか。東京オリンピックの時も陸上競技が行わられる国立競技場でした」
「もちろんそうだよ。パリオリンピックの場合も最初はサンドニ市にある陸上競技場だったみたい。だから夏のオリンピックの開会式が陸上競技場以外の場所で行わられるのはオリンピックの歴史上初めてみたいね」
「どのようにして開会式が行わられていくのですか」
「選手たちは160の船に分乗してセーヌ川を下っていくみたいね」
「なんだか想像しただけですごそうですね」
「そうだね。川岸には有料の席が設けられるようだけれどそれ以外は自由に見物できるみたいね」
「さぞかし豪華な開会式になるでしょうね」 つづく
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