第2話 パリの街中を散歩

 二人はパリの街を散歩することになった。車道の端にある歩道を二人は歩いて行った。

「この道をどんどん歩いて行くとね、セーヌ川が見えてくるから」

「セーヌ川ですか、いいですね。やはりパリの街と言ったらセーヌ川ですね」

「セーヌ川はパリの街の真ん中を流れているからね」

 二人が歩いて行く街の中には、五輪の輪のデザイン画があちこちに飾られていた。

「そういえばもうすぐパリオリンピックですね」

「2年後ね」

「だから街のいたるところにオリンピック関連のもので飾られているのですね」

「これらはいわゆるオリンピックのシンボルマークというものね」

「街の中がオリンピックのシンボルマークであちらもこちらも飾られていると、本当にこれからすばらしい祭典が始まるという空気ですね」

「私は個人的にこういう空気が好きでね、これから2年間楽しみがいっぱいだね」

「私も子供のころからお祭りの前の日がとても好きでした。なんだかワクワクしてくるのです。普段の平凡で退屈の日々にいろどりを与えてくれる。実に素敵です」

「平凡で退屈の日々、それももちろんそれ自体楽しいけれどね」

「そうですね。ただ、たまにお祭りがあると、それ自体楽しい普段の平凡で退屈な日々が、さらに楽しい平凡で楽しい退屈になります」

「これからこのパリでさらに楽しい平凡でさらに楽しい退屈の時間を過ごすことができそうだね」

「しかし私は残念です。私はすぐに日本に帰国しなくてはいけないからです」

「ああ、そうだったね……ではどう、あなたもこの国の声優になったら」

「冗談なのか本気なのかはわかりませんが、そう言ってくださるだけでとてもうれしくなります」

「半分は冗談」

「……」

 ここで二人の間でしばらく会話が途切れてしまった。

「今度のパリオリンピックですけれど、夏のオリンピックは実に100年ぶりだとのことですね」

「そのようね」

「でしたら今までのオリンピックの歴史上かつてないほどの史上最高のオリンピックになりますね」

「そうなってもらいたいけどね」

「私たちの東京オリンピックはコロナのため規模が縮小されてしまいとても残念でした」

「確かに残念だったね。しかしうまく成し遂げたじゃない。コロナの中で、たいしたものだね」

「今はコロナの問題もだんだん解決してきましたね、ですからパリオリンピックの時はもう心配ありませんね」

「もちろんそうであってもらいたいけどね」

「東京オリンピックの時とは違い、その反動でパリオリンピックは最高のオリンピックになりますよ」

 二人が歩いてい行くとセーヌ川が見えてきた。  つづく

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