偶然助けた仮面優等生の本性は毒舌腹黒でした。

仮面を剥がして伝えましょう

〇街中

蓮杖「はあ……はあ……おい、三条！　ちょっと待てって！」

　蓮杖の声に三条は足を止める。

蓮杖「お前、一体どうしたんだ。いきなり相手に怒るなんてお前らしくない。確かに御手洗は面倒くさい人間だけどあの場合だったら俺が立ち去ればよかった話だし……なんであんなに反撃したんだ」

三条「……嫌だったから」

蓮杖「え？」

三条「あなたが馬鹿にされているのが嫌だったから。はあ～～～～～、これで私の優等生キャラも終わりかあ」

蓮杖「いや、ちょっと待て！　なんで俺が馬鹿にされているのをお前が嫌って感じるんだよ！」

三条「……それは……その」

蓮杖「なんでそこで言い淀むんだ……」

三条「……あなたのことが好きだから」

蓮杖「え……？」

三条「あなたのことが好きだからって言ったの。ああ、もう！　こんな恥ずかしいこと何回も言わせないで！」

蓮杖「いや……その……なんでお前が俺のこと好きなんだよ。俺とお前はただのクラスメイトで……」

三条「……私もまさか自分がこんなふうになるとは思ってなかったわよ。でも……自覚してしまったんだから仕方ないじゃない。どんどんあなたといるのが楽しくなってくるし手伝い関係なく今はあなたといる時間がもっと欲しいと思ってるし……ああ、なに言ってるのかしら、私は！」

蓮杖「いや、その気持ちを聞かされた俺のほうがびっくりだよ！　どんな対応すればいいんだ……！」

　蓮杖、頭を抱えて蹲る。

三条「……蓮杖くんは私から好意を向けられるのは嫌……？」

蓮杖「嫌っていうかその……まさか三条からそんなこと言われると思ってなかったから……」

三条「……そうね、本当は私ももっとちゃんとした状態で気持ちを伝えたかったわ。まあ……あの男のせいで台無しになったけどね」

蓮杖「まあ……あいつはああいう人間だから。でも、ありがとう、三条。俺のために怒ってくれて。そのせっかく築きあげた優等生キャラを捨ててそうしてくれたのは凄くうれしい」

三条「よかった……ちょっと余計なことをしたかもと思ってしまっていたから。あなたからそう言ってもらえるのは私も嬉しいわ……！」

三条「それで……こんな形になってしまったけど……蓮杖くんは私の気持ちを受け止めてくれるのかしら？」

蓮杖「……俺は正直、三条と自分が釣り合うような人間とは思ってない。それでも……それでも……三条さえよければ自分のことを好きと言ってくれたその気持ちに俺は答えたいと思う」

三条「……ありがとう！！　じゃあ私達これからは友達ではなく恋人ってことになるのかしら……」

蓮杖「……そうだな。しかし……恋人って一体なにをすればいいんだ……？　付き合ったからにはなにか特別なことをしないといけないのかな」

三条「そんな必要はないんじゃない。今まで通りに接してくれたほうが私も嬉しいわ」

三条「というわけでこれからもよろしくね。蓮杖くん」