怒り
〇次の日 学校の教室 放課後
三条「蓮杖くん、今日も手伝いお願いしても大丈夫?」
蓮杖「ああ、大丈夫だぞ」
三条「それじゃ……」
御手洗「こんにちは、三枝さん」
蓮杖「御手洗……」
三条「……なにかしら、御手洗くん」
御手洗「いやあ、最近随分蓮杖くんと仲良くしてるなあと思ってねえ。クラスメイト同士が仲がいいことは結構だけど……彼は君にふさわしいのかな?」
三条「……どういうことかしら?」
御手洗「ふむ、もっと直接的に言わないと伝わらないかな? その男は君にふさわしくないと言ったんだ」
三条「……どうして? 彼は真面目にこちらを手伝ってくれているわ。やることすべてしっかりしているし」
御手洗「はは、彼が出来ることなんて僕にも出来るさ。だからさ、困っていることがあるなら彼ではなく僕を頼りたまえよ」
三条「……」
蓮杖(御手洗……なにかと良くない話ばかり聞くが、親が結構権威のある立場でみんな逆らえない面倒なやつ! こんな厄介なやつに目を付けられるとなると俺は三条から離れたほうがいいのか……)
蓮杖「三条」
三条「蓮杖くん、ちょっと黙っててくれるかしら」
蓮杖「!? あ、ああ……」
御手洗「んん、どうしたのかな? そんなに声を荒げるようなことではないだろう。もう少し冷静に……」
三条「とりあえずその品性の欠片もない言葉を発する口を閉じてもらえないかしら」
御手洗「な!?」
蓮杖「さ、三条!?」
蓮杖(ど、どうしたんだ? こんな怒りの感情を表に出して他人と対立するなんて三条らしくない)
御手洗「三条くん、なんて失礼なことを言うんだ! この優秀な僕が好意で君を助けてあげようと言っているんだぞ! それをこんな無碍にするような……」
三条「いらないわ。あなたの助けなんて。大体今の自分の言っていることに対してなんとも思っていないのがあなたが馬鹿な証拠よ」
御手洗「な、なんだと!」
三条「だってそうでしょ。私を手伝ってくれてる蓮杖くんをなんの根拠もなく馬鹿にして自分のほうが優れているからあなたにふさわしいって。まああなたがどれだけ立派な能力を持っていたとしても今の言葉であなたが人間として駄目な奴っていうのは分かるわ。最低限のマナーもなってないような人間と私は関わりたくない」
御手洗「き、貴様! 言わせておけば」
三条「ほら、そういうところもよ。悪いところを指摘されて変えることが出来ない人間的未熟さが出てる。私に選んでもらいたかったらそういうところを直してからいらっしゃい。……さて、私の言いたいことは粗方言い終わったから」
三条、蓮杖のほうを向いて腕を絡ませてくる。
御手洗「なっ!」
蓮杖「!?」
三条「行きましょう。蓮杖くん」
三条は戸惑う蓮杖を連れて足早に教室を去った。
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