優等生の心の内
〇学校の帰り道
三条「ん~~~~~~、今日も頑張った、私。自分にご褒美をあげたいくらい! 蓮杖くんもお疲れ様。あれから私が困ってたらいつも手伝ってくれてありがとう」
蓮杖「いや、いいよ。俺もその見返りに料理作りに来てもらってるし。本当にあんな仕事の量をよく今まで一人で裁いてたな」
三条「まあ、気合いってやつ。誰かの役に立つの嫌いじゃないし」
蓮杖「……なあ、一つ聞いていいか?」
三条「どうぞ」
蓮杖「最近ずっと一緒にいることが多くなったから分かったんだけど……三条はさ、必要以上にいい子に見られようと行動してるよな。どうしてそこまでいい人間に見られようと努力するんだ? 正直今の発言は……なんだか嘘くさかったぞ」
三条「!?」
蓮杖「なんていうか心の底からそう思っていないように俺は感じた。どうしてそんな無理してそんないい子であろうとするんだ?」
三条「……あなたって本当によく人を見ているのね」
蓮杖「ん? そうか? ただなんとなくそんな感じがしただけだぞ」
三条「……嫌な話をするけど、いいかしら?」
蓮杖「あ、ああ。なんだ急に改まって?」
三条「あなたが今自分で言ったんでしょ。私がなんでいい人として振る舞うのか知りたいって。だから今から話してあげるわ。それなりの付き合いにもなって来たしね」
三条「まあ、ありふれた話よ。両親は教育熱心で私が子供のころから文武両道になるように厳しく育てたわ。テストの点が悪くなれば叱責を受ける、そこでいい点をとってもこんなことはできて当たり前だと罵られる。そんな環境で育ったせいかしらね、常にいい子でいようとするようになったのは。いい子でいれば親二人からきちんと褒めてもらえて自分がちゃんと二人から必要とされてる実感が湧いたのよ」
蓮杖「……それは……」
三条「馬鹿よね、こんなことをしていてもなにか良くなるわけでもないのに。時々自分でもなんでこんなに頑張ってるんだろうって思っちゃう。でもやめられないんだから本当イカれた人間よね」
蓮杖「いや、そこまで言わんでも……」
三条「……ごめん! 辛気くさい話しちゃった! さ、切り替えて夕飯の買い出しにいきましょう! この話はもう忘れて」
蓮杖「……なんかすまんな、余計なことを聞いた」
三条「いや、いいのよ。別に蓮杖くんに私を傷つける意図があったわけじゃないし。それじゃいきましょう」
蓮杖「ああ……そうだな」
三条、足早に蓮杖の家に向かう。蓮杖はその姿を見ながら小さな声で呟く。
蓮杖「なんでそんな泣きそうな顔をしてんだよ……」
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