優等生は専属料理人?

〇蓮杖自宅


蓮杖「ただいまー」


三条「お邪魔します」


蓮杖「さっきも言ったとおり俺以外家に誰もいないからくつろいでくれ。荷物はリビングのどこかに適当に置いてもらって構わない」


三条「それじゃ遠慮なく。……家、結構大きいのね」


蓮杖「ああ、まあな。そこそこ裕福な家だし」


三条「……親二人があまりいることはないみたいだけど寂しくはないの?」


蓮杖「いや、別に。物心着いた時からこんな感じだったしな。だからって親二人に不満はない。忙しい中帰ってきて家族の時間をなるべく作ろうとしてくれたしな」


三条「……素敵なご両親ね」


蓮杖「どうした? そんな寂しそうな表情をして?」


三条「……なんでもないわ、とりあえず私が料理を作るから蓮杖くんはソファでゆっくりしてて」


蓮杖「……」



三条「はい、おまたせ。冷蔵庫の中を確認させてもらってあるもので作ってみたわ」


蓮杖「おお……! うまそう……。豚の生姜焼きとキャベツ、豆腐の味噌汁か。めっちゃしっかりした夕飯だな」


三条「これはまだ基本的なほうよ。あなたもこんなふうに一人で生活することがあるなら正直これくらいの料理は作れたほうがいいわ」


蓮「えー、面倒くさいよ」


三条「そんなこと言ってたら他の人から嫌われるわよ。まあ、小言はこれぐらいにして早速食べましょうか」


蓮杖・三条「「いただきます」」


蓮杖「ん……おいしい! 料理も上手いってもはやなにが出来ないんだ、三条……」


三条「私にだって出来ないことはあるわよ。でも褒めてくれたのは嬉しいわ」


蓮杖「う、うーん。これは……お金さえあれば毎日作りに来て欲しいくらいうまいな」


三条「ふふ、専属料理人にでもするつもり? でも……そうね、これからも私のことを手伝ってくれるなら作りに来てもいいわよ」


蓮杖「いや……本気にするなよ。確かに来てくれたら助かるけど」


三条「なら遠慮せず作りに来て欲しいって言えばいいじゃない。今日手伝ってもらって私も凄く助かったし、むしろ私のほうが助けを借りたかったから今の提案をしたんだけど」


蓮杖「……まあ今日みたいに手伝った見返りに食事を作ってもらえるなら正直助かる」


三条「じゃあどうする?」


蓮杖「三条が困らないのであればこれからも食事を作りに来て欲しい。凄くおいしいし」


三条「決まりね。じゃあ明日から私の仕事手伝ってもらうわよ。改めてよろしくね、蓮杖くん」


蓮杖「ああ、こちらこそよろしく」

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