優等生の本性は

〇学校


蓮杖「んんー、さてと午前中の授業も終わったし、購買に昼食を買いに行くか」


 蓮杖は席を立ち、廊下に出る。


蓮杖「あれ? あれは三条か? 一人で一体なにをしているんだ? 食堂には向かっていないみたいだし……ちょっと悪い気はするけど追いかけてみよう」


 そのまま、蓮杖は彼女の後を追う。


蓮杖「ん? 向かったのは屋上か? あんな誰も寄りつかないところで一体なにを……」


 蓮杖、疑問を抱えたまま、屋上の扉に手をかけて少し開ける。開いた扉の隙間から屋上の様子を伺う。


三条「あーーーーーーーー! 本当にムカつくーーーーーーー!」


蓮杖「ええっ!?」


杖(と、突然大声出してどうしたんだ? 三条のやつ? なにかやばい雰囲気を感じるぞ……!)


三条「本当どいつもこいつもクラスのことをなんでもかんでも私に任せっきりにして! 少しは自分達でやりなさいよ! 先生も先生よ! 私が頼りになるからって全部私任せにして!!」


 三条、怒鳴りちらしながら屋上の鉄柵を蹴りつける。


蓮杖(うわ……めっちゃキレてる……。こんなの皆が見たらドン引きだぞ……)


三条「はあ……はあ……んっ? 扉が少し開いてる……?」


蓮杖(うわ、しまった! 気付かれた!)


三条「誰!? そこにいるのは!?」


蓮杖(こうなったら大人しく出て行くしかないか……)


蓮杖「はあ……こんなところでなにしてんだよ。優等生が」


三条「れ、蓮杖くん!」


蓮杖「いや、お前が屋上に向かってるのが見えたからなにやってるんだと思ってついて来たら……」


三条「見たの? さっきの私を?」


蓮杖「……まあ、な」


三条「……はあ……マズったなあ。まさか同じクラスメイトにあの姿を見られるなんて。私としたことがとんだ失態だわ。皆にこのことが知られたら私の評価はだだ下がりよね……本当どうしようかしら」


蓮杖「安心しろって。誰にも言わないから。こんなこと言いふらしても誰も特をしないだろ。そんな意味のないことを俺はしないぞ」


三条「……口だけじゃ信用できないわね」


蓮杖「いや、そんなに疑わんでも……」


三条「……じゃあ、あなたのことを今日から監視させてもらうわ。本当にさっき言ったことが口先だけじゃないか見極めさせてもらうわよ」


蓮杖「いや、なんで監視なんかされないといけないんだ……!」


三条「あなたの迷惑にならないようにはするわ。しばらく観察して信頼できそうならやめてあげる」


蓮杖「ええ……そんなむちゃくちゃな……」


三条「返事は? 蓮杖くん?」


蓮杖「分かったよ……ったく無駄なことをしてるぞ、優等生さん」


三条「優等生じゃないわ、三条 あやかよ。人の名前はちゃんと把握して欲しいわね」


蓮杖「それじゃ、呼び方は三条でいいか?」 


三条「ええ、それでいいわ。それじゃこれからよろしくね、蓮杖君」


蓮杖「……なんだかこれから大変なことになりそうな気がする」

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