偶然助けた仮面優等生の本性は毒舌腹黒でした。
司馬波 風太郎
偶然の邂逅
〇街中
蓮城「図書館で勉強してたら遅くなったな。今日は親もいないしコンビニで夕飯を買って食べよう」
蓮杖、近くにあったコンビニに行き、夕飯を買う。店を出たところで男達に絡まれている女の子を見つける。
蓮杖「あれは……うちのクラスの……三条さん? うわ……面倒くさそうなのに絡まれてる。無視してもいいんだけど……めっちゃ困ってるみたいだな。はあ、俺もなんでこんなところで変な善意を発揮してるんだろうな」
蓮杖、文句を言いながらも絡まれているクラスメイトの元に向かう。
不良「だからさ、俺たちと一緒に遊ぼうよー。つれない態度取ってないでさー」
三条「……っ」
三条(まいったな、適当にあしらえば去っていくかと思ったけど思ったよりしつこいわね……)
三条「すいません、このあと予定があるのでちょっと……」
不良「んなもん無視してさー、一緒に行こうぜー」
三条(しつこい! 大声出して警察でも呼ぼうかしら!)
蓮杖「あー、悪い。待たせたな」
不良「あ?」
三条「えっ?」
蓮杖「ほら、こっちに来い。あっ、すいません。こいつ俺の連れなんで~、それじゃ失礼します」
三条「ちょっ……! 待って……!」
蓮杖、三条の腕を掴んでその場を足早に立ち去る。しばらく走り、不良の姿が見えなくなったところで立ち止まる。
蓮杖「すまん、強引なやり方で。大丈夫か?」
三条「ええ、問題ないわ。最初は何事かと思ったけど。しつこかったからどうしようか迷ってたのよ。強制的に話を遮ってくれて助かったわ。ありがとう、蓮杖くん」
蓮杖「あれ、俺の名前覚えてたのか?」
三条「それはそうでしょう。同じクラスメイトだもの。私一応クラスの委員長もしているしみんなの名前くらい覚えているわ」
蓮杖「さすが完璧な優等生……。学業トップは伊達じゃないな。よくそんなに関わりのない他人のことを覚えられる」
三条「お褒めに預かり光栄だわ。じゃあ私はもう行くけどあなたはこれからどうするの?」
蓮杖「ん、俺か? 本当は夕飯を買いに来たところだったからこれから家に帰って食べるところだぞ」
三条「そっか、本当にごめんね。私のせいで夕飯の邪魔をして」
蓮杖「気にしなくていい。流石に自分のクラスメイトがあんなろくでもない人間に絡まれているのをみたらほうっておけないだろう」
三条「ふふ、優しいんだ。蓮杖くんって。結構無愛想で冷たい印象を受けてたんだけど」
蓮杖「ああ、愛想がない性格なのは自分でも理解してるから否定はしない。後、別に優しくはないぞ、人間として当然のことをしたまでだ」
三条「へえー、今時珍しいくらい真面目な考えね」
蓮杖「そうか?」
三条「ええ。今のご時世みんな余裕がなくて他人を助けることなんてしないから。まあ、こんな辛気くさい話はいいわ。今日は本当にありがとう。私も家に帰ろうかな」
蓮杖「家まで送ったほうがいいか?」
三条「いやいやそれは流石に悪いわよ。まああんなのにまた絡まれることはないでしょう。それじゃあね。また明日学校で会いましょう」
蓮杖「ああ、また明日な」
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