第7話 初詣

「あけまして、おめでとう!」


「まさか元日のこんな早い時間にここに来るとはねー」

「最近の君はほんとに私を驚かせるなあ」


「ん?どうしたの?」


「初詣?そっか、今日は元日だもんね!ちょうどいいねー」


「ここは相変わらず人が来ないけど、近くの大規模な神社は賑わってるんだろうなあ」

「君は毎年どこの神社に行ってるの?」


「ふーん、やっぱり近くの神社かー」

「今年もそこに行くの?」


「そっかー、そうだよねー」


「え?私も一緒に?」

「いいよー!誘ってくれて嬉しい!」


「じゃあ、早速行こっか!」


「それにしても、ついに一年が始まったねー」

「君もあと数ヶ月で二年生かー」

「今年の目標とか、なんかあるの?」


「あはは、わからないよね。突然聞かれても」

「まあ、高校もまだ始まったばかりだし、たくさん楽しいことしたらいいよ」

「青春は一度しかないんだからさ」


「わあ、やっぱり賑わってるね!」

「お参りする所なんか、長蛇列ができちゃってるよー」


「さて、まず何をしようかな」


「おみくじでも引く?あそこにあるよ」

「今はあんまり人が並んでないみたいだし」


「うん、じゃあ行こっか」


「うーん、どれにしようかな。迷うなー」


「よし、これだ!」

「いいよ、引いてごらん」


「よし、開いてみようか」


「やったー!大吉だー!」

「君は?」


「えっ!?君も大吉?」

「よかったねー、お互い今年はいいことあるよ!」


「なんて書いてあるの?」

「ふむふむ、学門は『焦るべからず』、恋愛は身近に縁があるみたいだねー」

「健康は万全みたいだね。よかったよかった、健康第一だからねー」


「私のは、願望はやれば叶うって書いてあって、あれ?」

「私も、恋愛は身近に縁があるって書いてあるねー」

「ふふ、不思議だね」


「さて、次は絵馬でも書きに行こうか!」


「えーっと、私は……。どうしようかな」


「え?もう書き終わったの?」

「じゃあ私も……。そうだ!」


「うん、できあがり!」

「どれどれ、君はなんて書いたの?」


「『楽しい高校生活が送れますように』、ねー」

「え?私の?」


「ふふ、内緒!」


「あはは、いいじゃん別に。恥ずかしいよー」


「そうむくれないでー。じゃあ、つるしてくるね」


「よし、次はどうしようかな」

「まだお参りの場所は人がたくさんいるしなあ」


「手でも清めて待ってようか」


「よいしょっと。ああ、冷たい!」


「さて、まだたくさん人が並んでるねー」

「ずっと待ってたら日が暮れちゃいそうだよ」


「そうだ!うちの神社でお参りする?」


「うん、じゃあ行こう!」


「うちの神社も、できた当初は人がお参りに来る神社だったんだけど」

「もう今となっては神社の関係者の人も来ないし、絵馬もおみくじも全部撤去されちゃってる」

「でも、神社がなくなってるわけじゃないから」

「お参りにはちゃんと意味があると思うんだ」


「さあ、お参りしようか!」

パン、パン!(手を叩く音)


「なんてお願いした?」


「あはは、教えてくれないかー」

「私はね、『君とずっと一緒に楽しく過ごせますように』ってお願いしたんだ」


「ふふ、なに恥ずかしがってんの」

「私は神社に行ったのも、お参りしたのもほんとに久しぶりだった」

「今日も、去年も、君と一緒に色々なことをした」

「こんな時間がいつまでも、ずっと続いてほしいな」


「え?君も同じこと、お願いしたの?」


「そうだったんだー。ふふ、なんかとっても嬉しい」


「あらためて、今年も一年いろいろあると思うけど」

「今年もよろしくね!」



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