赤 ガントリーナは笑い続ける 2
1.これからの話をしよう
「それで?君はうちの備品を壊した上に
「あー、そー...、なりますね!?ごめんなさい!」
「被害がごめんではすまない範囲なのだけれども、お前と言うやつは本当にわかっているのか?」
この状況どうしたものか。ああ、どうしたものだろうか。怒られるのはめんどくさい。かなりめんどくさい。どうにか切り抜ける方法がないかと天願司はその頭脳をフル稼働。
....いやあった。一つ手が。これならばいけるそんな手が。
怒られモードの時は大体口が窄み口にトランスフォーム。切り出しにくいというよりも口出ししにくいこの状態から申し訳なさそうに第一声。これがポイントだ。
「あ、でも収穫は」
「なんだ?いいものなんだろうな?」
「この天願司!なんと機神の!サークルラプターの契約者!...になったみたいなんですよ」
「そうか契約者か。なんだそうかって......何だと!?」
極盛逢世が食いつく。それもそうだ。機神の契約者は何事よりも優先されるべきことなのだから.....。
機神とは人が契約することで初めてその力を発揮する、そういうことになっている。
だがそのためには適合者となる者を何人も使い潰さねばならない。彼らを適応させるために人間を使い捨ての電池のようにだ。こんな言い方は酷いが事実である。
そもそも機神という物自体が、人間が乗るには些か危険な代物なのである。
極盛逢世は設計こそすれど、こんなことは想定していなかった。だが最初からそうなるように、まるで決まっていたかのようにいつの間にかそんな風に彼らは出来上がってしまったのだ。
だからこそ困惑する。この状況がどんな風な結果の大風呂敷を広げるのだろうかと。
「しかし.....。いや、やはりわからないな。どうして急に....」
「思うに、王叶センパイのおかげですね。あの人と戦うと機神がざわめき出したんです。で、なんやかんやと言う間にって感じです」
「そのなんやかんやが1番知りたいところなのだけれど...。だが、まあ、そうだな。天願、勿体ぶらずにさっさと本題を言いたまえ。今なら聞いてやらないこともないよ」
分からないなら進むしかない。その返答を、彼女も薄々気づいている。
だから、天願司もそれに応えるかのように、背を押すかのように大仰に、でも冷静に、まるで我々は悪の組織だとでも言わんばかりに自信を込めて言い返す。
「ええ、では失礼して。極盛逢世、他の機神も候補者と共に等織理王叶にぶつけてはいかがしょう?」
それは彼女も考えていたこと。むしろこれから先のことを考えるならば一番被害が少なくて済む。
「やはりそうなるかな」
だが問題はこの天願司とかいう生徒。テンションがやたらおかしい時がある以外普通なのだがやはり普通ではない。逢世にも裏があるなら彼女にだって裏がある。それが普通だ。
しかし彼女は裏表が、どちらも重要事項が書かれた両面印刷かのようで見落としやすく読みにくい時がある。
彼女の言うことは最もであるのもまた事実。もはやこれしかないだろう。
機神はこの世界に必要不可欠だ。むしろ本来の予定よりも少し遅れていまである。極盛逢世にも彼女なりの道があるのだ。そのためにも提案も天願司も乗りこなす。
「とりあえず候補者を召集しましょう。テレフォンしちゃいますね!あゝ!なんだかわたし楽しみです!!」
「それは私がやるからっ!お前はさっさと授業を受けてこいっ!まだ今からなら間に合うからさっさと行け!行ってくれ!」
だが決意と乗りこなせるかどうかは別問題だと言うことを人は忘れてはならないのであった。
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