青 私は王叶だ 7
3.戦闘、これはチュートリアルです 1
今、等織理王叶の目の前にあるのは懐かしき母校。その名も『
それなりにアームヘッド競技で有名だった学校。一度だけ優勝したことから幻の学校だなどと言われている中堅くらいの位置の学校。
確かその時の立役者は...。だがダメだった。思い出せなかった。それになんだかもう一人、大事な人を忘れている気がしていた。
とても、とても大事な思い出。ここで過ごした日々、大切なものだったのに、思い出せない。
最近記憶がとても曖昧なのと関係しているのだろうかと疑う。
でも、あの日の姿はない。これが事実。
ありえないことかもしれないが、世界は、本当に、なんの比喩でもなく、モノクロであった。
気が付けば地上。もう落下の心配はないのであるが____
「理解いただけましたか?今この世界に起きていることが」
紫の機神から声がする。いきなり蹴りを入れてきた今最も憎いやつ。こいつのおかげで緊張感だけは継続中である。
「「わかるわけないでしょうが!?」」
まったくもってその通りだ。隣に居るルグルフェンだってそう思うようだ。
起きたこと、起きていること、重なり過ぎて一切合切まったくもってまだ何一つ理解が追いつかない。だと言うのに。
「そうですか。では仕方ありませんね。_____今からあなたを死なない程度にボコります。機神を、身体で覚えてください」
突如として向かってくる紫の機神。二度も喰らってたまるかと王叶は咄嗟に避けた。
「どうやら一つは既に覚えていたようですね。そうです。機神の痛みはあなたの痛み。ですが!それでは!まだまだです!」
「そうは言ってもね!こっちはさっき乗ったばかりなんだよ!ていうかそもそも痛いのは勘弁なんだけど!」
避けることしかできない。そもそもどうやって避けているのかも実は王叶にはわかっていない。
「乗っている?そうですか。そう捉えているのですか...。ではアドバイスを。乗っているのではありません。入っている。あなたと機神は一心同体。だから痛みも受けるのです!」
そしてまたも向かって来た!
今度は武装の手裏剣を高速回転。まるでチェーンソーだ。あれを食らえばひとたまりもないだろう。
「主、おそらくだが...。いやまさかそんなわけがないやはりやめておこう」
「何!?ルグル!?なんかあるなら言って!早く!」
「いや本当に、本当におそらくなのだが、「願う」が正解なのでは...」
確証がないからか、かなり弱気な意見である。それもそうだ。
「願うって...。そんな機械があるわけないじゃないか!?」
『いえ、ルグルフェンの言う通りです。王叶殿は「身を守る」そう強く願ってください。そうすれば某は、必ず、叶えさせます』
だが信じられないことに、それは本当であった。さらにそれを当の本人が言っているのだ。
ならば試すしかない。信じて、「願う」しか無いのだ。
「ええいままよ!とにかくあの攻撃から身を守って!」
無茶苦茶な願い。だが彼は!機神は!力強く応えた!
『貴殿の、仰せのままに!!』
シャスティークは左手に備え付けられていた盾で、向かって来た高速回転を伴った手裏剣を攻撃を受け止めた!
普通ならば切り刻まれているだろう。
だがこれは「普通」では無い。機神だ!
火花を散らしながらも耐える!そして盾が、光を放つ!
『その攻撃、そっくりそのまま跳ね返して差し上げましょう』
その言葉と同時に盾は衝撃波を放ち、紫の機神を吹き飛ばす!
「え、すっご。え、こんなこと出来るの。うわ」
『貴殿が願えば。ですが、これでは勝てません』
「そう、その通りです」
既に敵は起き上がり、今度は分身を伴って攻撃を仕掛けてくる。その様はまるで、忍者。
「主、あれはただの残像ではない!今度こそ本当にまずいぞ!」
またも忠告を吠えるルグルフェン。
だが王叶の中に不思議と焦りはない。今までのことを頭の中でまとめる。そうすれば。
「大丈夫、わかってるよ!それに今」
自ずとわかる。
「ええと、多分これであってるはず。____うん。いいよ。大体解った」
そう呟いた次の瞬間。
シャスティークの目が光る。
「そうか。一心同体。なるほどそういうこと」
単調だった動きが変わる。
「入る。願う。受け入れる」
まるで魂が入ったかのように
「__________なんだ。とても簡単なことじゃないか」
今、シャスティークは、王叶の身体となった。
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