第2話 いざ登録
VRMMO。仮想現実大規模多人数同時参加型オンラインゲームの略称だ。頭の負荷が大きかったり、酔ったりする人もいるため、意外にもプレイヤーが少ないケースが多い。また維持するには莫大な費用がかかるため、すぐに潰れる運営もあるのだとか。
余談はこの辺にしておくとして。ガーネットZ達は例の夏限定のVRMMOにログインした。初日の8月1日は知り合いが開催するミニ大会や雑談会に参加していたため、実際に初めて入れたのはサービス開始から4日後のことである。
「えーっと。夏のあれは……あったあった」
頭に装着する黒いヘルメットのようなものを被り、ネットの世界に潜り込む。五感が全て小さい仮想空間内で再現出来ていることを確認し、ゲーム名が書いてある透明の板を軽く触れる。見る世界が広がっていく。鮮やかな緑色がお出迎えしてくれている。ポツンと木の看板があるので、ガーネットZはしゃがんでわざわざ声を出して読む。
「ようこそ。夏の島へ。ネーミング雑じゃね? あ。タッチすりゃいいのか」
指で木の看板をそっと触れる。
「今から登録を行います。よろしいですかと。そりゃそうに決まってるだろ」
最初にプレイヤー名。いつも通りガーネットZと記入するのだが、何となくノリで下ネタ方向の名前を記入し、決定の部分をタッチする。ブザー音が鳴り響く。
「やっぱダメなんだな」
ゲラゲラと笑いながら、いつもの名前を記入。年齢と性別はVRMMO全体の共通登録時に固定されているためカットである。一応彼は男で21歳である。
「見た目はどうすっかなーって最初は黒か茶しかないのかよ。あ。注意書きで染めるアイテムが中にあるのか。とりあえずリアルばれしない程度に弄るか」
身長165cmの細身の男である。5cm高くして、黒髪を服の襟に届かない程度に短くし、爽やかな感じに仕立て上げる。
「うし。これで準備完了か」
完了の部分を触る。風が吹き、どこかに飛ぶような感覚をしながら、ガーネットZは目を瞑る。
「ようこそ。夏の島へ。思い出、いっぱい作ってね」
小学生5人ぐらいの声を耳にしながら、ようやく夏限定のVRMMOに入っていく。とりあえず仲間と合流が最優先と冷静的な思考をしている一方で、イベントをこなしたいというゲーマーの熱い部分もあった。
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