第23話

ケイ音楽部の人達全員が私の前に集まってきた。


皆、私が何を言うのか興味津々らしく。


さっきまでの冷やかしの言葉はもちろん、固唾を飲んで聞き耳を立てているらしく、だ~れも何も喋らない。


こういうシチュエーションはやっぱり苦手で、言葉を発することができなくなってしまった。


「 あ…あの…グス…… 」


すると、西島さんは私の側に来て、また頭を撫でてきた。


「 話しずらいみたいだね、焦らなくていいから、なら、先に僕らのことを話そう 」


この人私の気持ちがわかるの?


よくわからない人だと思っていたけれど、優しいところはあるんだ。


そういえばさっきもしきりに謝ろうとしていたし…


「 最初にこの学校へ来た時、軽音楽部は存在してなかったんだ、けれど、たまたま趣味で僕はギター、あの背の高い長髪の斉藤数吉はクラシックギターを、茶髪の北川悠司がベース、色付き眼鏡の森芳樹がキーボードを、ボブの吉川みさきがドラム、今はいないけれど副部長の椎名凛子がサックスと、それぞれ趣味で楽器をやっている6人でこの部を立ち上げたんだ 」


すると、茶髪の北川さんが私に近寄り、下から覗き込みながら私の肩を軽くポン、と叩いてくれた。


「 こんな俺たちだけど、みんなで一つの夢に向かって日々練習してるっつーわけ、けど、いろいろと足りないものがあるんだよね~ 」


「 そっ! 」


ぴょこんとジャンプして私の隣に着地した、ボブのドラマーガール吉川さん。


「 みんな個人個人のテクは最高じゃねッてお互い思ってるし、1年経ってようやく仲間らしくなって息もあってきたのよね、でも楽器は使えるけどメンバーみんなが、唄があまり得意じゃなくてね、そんな時にあなたが現れたってわけ、ケイちゃんが惚れこむのもわかるわぁ 」


話を聞いているうちに涙は止まった。


なぜなら、この人達が真剣に話すところを初めて見たような気がして、部活や音楽の話をする時の表情を見ていたら、普通に音楽が好きな良い先輩達って感じがして、本当はいい人達なんだって思えてきたからだ。


ふ~ん…


少し、この人達のことを見直したかな。


「 あの! さっきのお話ですけど、お願い、聞いてくれるって本当ですよね! 」



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