第22話


西島さんは戸惑っていた。


「 みんな聞いてくれ、僕は彼女の声が聞きたかっただけ、別に泣かせるような事はしてないつもりだけど、僕のせいだとしたら謝るよ… 」


これは違くて…グス…


「 違います!…グス…私、中学の卒業式の時のことを思い出してしまったんです、それに、先生のことや友達のこと、いろんな思い出が頭に浮かんで、歌っていたら急に…わぁ~~ …今もまだ…だから…グス…この人のせいではありません…グス 」


「 そうだったのね、わかるわ~その気持ち! 」


「 けどさ~その状況であの声量に、一つもブレない音程で歌いきるなんて、スゲーとしか言いようがない、どっちにしても彼女を泣かせたのは西島のせいだな、やっぱり責任とるべきだと思うぜ!  」


どうしてそうなる…グス


「 わかったよ、ごめん、君のことをもて遊んだようになってしまい… 」


「 グス…あ、いえ… 」


「 お詫びじゃないけれど、何でも君の言う事を聞くよ… 」


!?…何でも?


「 ケイちゃん?そんなこと言っていいの?…この子がもし、付き合ってくださいなんて言ったらどうしちゃおうね 」


!?つッ!つきあう!!?


「 それは…… 」


「 おい!みんな聞いたか!!ギター馬鹿の西島がマジになってる 」


なんでこうなるかなぁ、どうしてこの人達ってこう言う話にしかならないわけ?


ホント、バッカみたい!


「 あの!…ホントにいいんですか? 」


「 え?君もマジに西島のことを? 」


「 可能性があるのならば……じゃなくてですね…… 」


こんなチャンスはないわ!


ダメかもしれないけれど言うだけ言ってみよう…


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