第3話



今から1年程前、高校生になってすぐの頃だった。


机の上に置かれた真っ白な入部届けとニラメッコをしていると、ぼそりぼそりと隣の席のほうから呟きが聞こえてきた。


…あ~あ…運動は苦手だしな…文化部かな、やっぱり…てゆか、またまた帰宅になりそう…


私は自分の耳を疑った。


不思議なくらいその呟きと同じ事を、同じ瞬間に私も考えていたからだ。


親近感を抱いた私は、思い切って江藤さんに声をかけてみることにした。


「 部活 迷うよね 」


「 あ、聞かれちゃった? 特にやりたい事もないしね、また、わたし帰宅部かも 」


「 一緒だね 、けど高校生になったら何かしたいとは思っていたんだ 」


「 へぇ、宇野さんも? 」


その後も話は弾み、説明会を参考にしてから、一緒に何処かに入ろうという事になった。

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