目が口ほどにものを言う訳がない。
目が口ほどにものを言う訳がない。
「あまりにもファクターが不透明すぎやしないだろうか。エビデンスの不十分たるや群疑満腹でこの後昼食を取るのもやぶさかだ」
「馬鹿を言え、うん百年とある証言が何よりの証拠だ。数多の証人がいる以上はこれらの供述は命名白々嘘偽りではない」
「その証言がどれもこれもおあつらえ向き。まるで同じ物なのが問題なのだ。北は稚内、南は八重山、何故よく似たシルエットになるというのか、しかしひとたびお国を出ればまるで違う姿になる。彼らには制服でも支給されると言うのか」
「貴様は鼠を見てもそんな事を言うのか。我々とは別の生き物なのだから生態系や身なりの特徴を懸念するのはお門違いもいいところ」
「ちょっと待て。すべからく生き物でない事は確かだろう。世論では死者として扱われるのが至極当然、彼らの概念は縦しんばあるとしても生命として存在する事はありえない」
テーブルを挟みやや激しく討論を繰り広げる2人の男。
今まさに新たな法則、常識を決めようとしている。
そのテーマは『この世に幽霊は存在するのか』
大の大人が2人幽霊がいる、いないをもうかれこれ30分話合っている。
しかしこれが国会議員である彼らの仕事なので仕方のない事である。
もちろんこの男達の財源は国民から税収した物である。
「視認した人間が複数名いる以上、あり得ないで方をつけるのはあまりにも乱暴だ」
「証言はできても確固たる証拠を提示できる人間がいただろうか。おそらくファウンダーの受け売りを私的な話にすり替えて自談としているのだ。うん百年も前の人間相手なら真実を煙に巻くのも容易い上にそう言った話を子供に言い聞かせれば夜出歩く事や悪さをする戒めにもなるだろう」
「何を言うか。映像や写真に写っているものも数多くあるではないか。物的証拠があるんだそれを確固たる証拠じゃないとは言わせまい」
「そんなもの作り物だ。その多くは合成写真や意図的な捏造だと言う裏は取れている。あんなものは人為的に作れる。それ以外のものは多重露光やシャッタースピードの誤作動、単なる他人の写り込み。全て科学的にも物理的にも証明できるものばかりだ」
「ぐぐ、しかし見た事はなくとも何かを感じた何かが聞こえたと言う人間は相当数いるはずだ。私自身もそう言う経験はある」
「例えばノーシーボ効果、何かがいると思い込めば人間は実際にそれを感じてしまう。ブアメードの水滴実験を知っているか?人間は思い込みでやけどや死ぬ事もある。例えばカフェイン入りの薬でも睡眠剤だと言われて飲めばぐっすり眠れる人間もいるくらいに。足を掴まれただとかいう人間は虚言かその場のしじまの雰囲気に飲まれて勘違いしているだけなのだ」
「すべての人間がただただ勘違いしてるとでもいうのか?著しく博学才穎な人間でさえも」
「勿論。人間とはどの生物よりも様々な感情がある。本能だけで生きてる人間がいない以上それは全員に言える事だ。シュミラクラ現象と言って点が3つあるだけでそれが顔に見えるくらい無意識な刷り込みが得意な生物なんだから必然だろう」
「いたような、ではなく確かに見た人間も勘違いで済ますと言うのか」
「パレイドリアと言う心理現象はご存知か。視覚刺激と聴覚刺激で普段から知ったパターンを心に思い浮かべてしまいそこにない物が見えてしまう現象の事。これだけ心霊だのオカルトだのと言う事情が蔓延る世界なのだ。多少怖がりの人間ならそう言った虚像を錯覚しても何一つ不可思議ではないと思うが」
「音や声は!数多くの人間が!…」
「それもノーシーボやパレイドリアによる勘違いでも説明はつくが音に関してはマイクロ波聴覚効果もある故、見えた人間よりも多くいるのは必然的であり首尾として成るべくして成ったまで」
「あ、あ、赤ん坊や、い、犬が!!何もない所を眺めるのは!!どう説明を……」
「赤ん坊は何にでも興味を持つ。壁の模様を眺めていても月並みではないか。親の私物や生活用品などおもちゃや子供番組より訳の分からないものに興味を持つなんて日常茶飯事。犬に関しては何もない所を見るのが当然であり例えばテレビを楽しんで見てるとお思いか?むしろ彼らの動体視力を考るに動いてる物をじっと眺め続ける方がかえって疲れるのではないか?」
「ぐぐぐぐぐ…」
「認めてもかまいませんよ。赤ん坊や犬が幽霊を見たと証言するなら」
こうして日本に新たなルール、常識が追加された。
『この世に幽霊など存在しない』
「はぁ、疲れた」
軽く体を伸ばしそう吐露した青年こそ私『小芭梨徳也』は自分の意見が可決された喜びと長時間の議論で乾いた喉を潤す為、自動販売機に向かっていた。
茶飯事ではあるが勝ちは勝ち、しめやかではあるが祝勝会代わりに缶コーヒーでも飲もうと言う訳である。
「お疲れ様」
今しがたまで中年の声を長らく聞いていたので後ろから聞こえた麗かな声に私は即座に紅葉した。
「阪形さん!」
この天女も驚く雅な女性は私の先輩議員の『阪形翼』さんだ。その姿たるや明媚と言って差し詰め問題はない。
私が議員になった経緯を説明するならまずは彼女について語らねばなるまい。
私が彼女を一見して思った事を一言で言えば「素敵な女性らしさのマッシュアップ」
そうつまり一言では表せないと言う事である。
兎に角、お察しの事だろう私は彼女にホの字である。
私が好きなものはお金と彼女だけだ。
「小芭梨君、やっぱりあなたは私の見込んだ通りの人材。素敵だわ」
彼女は私の手を取り微笑みながらそう言った。
私の元から緩んだ口が一層ニタニタと頬を突き上げていく。それをなるべくお首に出さぬよう照れ笑いをしてみせた。
すると彼女は私の顔にグッと近づき握った私の手を胸に当て猫撫で声で囁いた。
「また頼まれて欲しいんだけど、今とっても難しい議案を担当しているの。小芭梨君の手を借りれたらとっても助かるんだけど」
「よ、喜んで助力いたします」
童貞大爆発。自慢ではないが私は女の頼み事に滅法弱い。昔、対談相手の女性議員に八百長を持ち込まれ、まんまと勝ちを譲った程にいわゆる色仕掛けに抵抗できないのだ。
にも、かかわらず私のせがれは未だ未使用。
ここまで私が飲んだ苦汁を吐き出させてあげる事もできず2人で苦労し1人遊びに夢中でやんちゃをしてきた時期もあったが、彼女に出会ってから私の初めては阪形翼に捧げるとベンツレヘムの偶像に誓った。
勿論行った事もなければ実家は近所の檀家であるものの私自身は無宗教ではあるが。
「それで私が得意な分野であれば惜しげもありませんが、力になれるかどうかはさて置きお話だけでも伺っていいですか?」
「ええそうね。ありがとう。次回あたしが担当する議題が『女性と男性どちらの方が得か』なんだけど…」
「また随分とセンシティブな議題ですね。私が担当していたら非難轟々世間に何を言われていたか」
阪形さんは鞄からタブレットを取り出すと1つのファイルを開いた。
「今回あたしは女性が得だと主張する側で議論する事になったわ。女性議員であるあたし自身がこれを主張する事自体に何か意味があるような気もするけど」
「それで阪形さんはどうするおつもりですか?男性が得だと言う常識になれば女性解放思想の社会運動も活発になって女性議員である阪形さん的にも何かと好都合な部分もあると思いますが」
「まあ最悪負けても多少の旨みはあるけど勿論勝つつもりで議論するわよ。でも議員をしていて日々思うけど、目に見える部分で女性が得なところって本当に少ないのよね」
「そうですか?私個人は男性不利のバイアスは進んでいく一方だと思っていますが」
阪形さんが何かを期待しているのはその妖艶な顔の造形から溢れた少女の様な表情で察しがついた。
「きっとそう思うのは阪形さんやキャリアウーマンの方達だけですよ。ビジネス的に女性不利な部分がまだあるのは事実ですがそれはこの先平等になり得る部分ですし、多くの女性はあまり気にしていない部分だと思いますよ。やはり結婚して専業主婦になりたいと言う女性は圧倒的に多いですから」
「それでも今不当を受けてる女性がいるのも事実じゃないかしら?少数の人間の意見に耳は傾けないの?一般的にも男女平等と聞けば男性優位な世の中はおかしい、女性にも平等な権利をって認識になってると思うわ。って事は共通認識として男性が得だって事にならない?」
「声あげる人の数ですよ。言っちゃなんですがフェミニストの方は圧倒的に声を上げがちですから」
「それこそが女性に不満があって、男性が満足してるからと言う事に直結しない?」
「男女平等と言えば聞こえはいいですが、男性が不満や我慢している部分もありますがそこを平等にしようと声をあげるフェミニストの方は滅多にいませんし、そこを放っておいて今主張されてる様な事が実現されれば間違いなく女性優位な世の中になりますよね。性差的な事もあるので仕方ないと割り切る事も大事かと」
阪形さんは肩を落とし少し呆れたと言う表情を浮かべた。私も別に阪形さんとこう言ったディベートがしたい訳ではない。出来る事ならもっと桃色渦巻くうふふな話を大いに期待したい。
ただ私は何も嫌がらせでこんな事を言っているのではない。ここである程度ディスカッションしておく事で予習しておけるそう言った意図がある。
議論当日今私が言った事が頭に有れば似たような事を言われた際に反論にも困らないだろうし独自の解釈を加えてもらえれば鬼に金棒となるわけだ。
「凶悪犯罪者の多くは男性よね?」
「まあそうですね。しかし被害者には男性も多くいるので得か損かと言う議題ではあまりその数は関係ないかと」
「性被害を受けているその多くは女性であり、性犯罪をする人間も男性がほとんどでしょ?痴漢やレイプやDV被害、男性により人生そのものを台無しにされてる女性も多くいるのよ」
「間違いない。それは本当に気の毒に思います。しかしですねそう言った被害を受けているのは女性だけじゃないですよ。それに女性には何かと対策措置などがありますが男性の場合はそうはいきません。女性専用車両はあって男性専用車両はない。これに関しては痴漢冤罪を懸念する男性からの声が多いにも関わらずです。あとDV被害者の為の女性専用シェルターは多くあるのに男性専用シェルターは日本に一件もありませんし、女性と違って男性が暴漢にあったと主張してもその加害者女性が男性同様の刑罰を受ける事も多くありません」
「あのねぇそんな少数の意見を引き合いに出されても」
「お言葉ですが少数の意見に耳を傾けないのはおかしいと最初に言ったのは阪形さんですよ?」
するとニヤリと阪形さんは微笑を浮かべると僕の肩をぽんぽんと叩いた。
「ありがとう。とても参考になったわ。飲み物でもご馳走させて」
「ああ、助かります。ちょうど喉が乾いていたので」
私の偏った主張、意見を聞き出す為に私が押し黙るような事が無いよう受け答えしてくれたのだろうが阪形さんと本気で議論すればこんなものでは無い。
彼女は私も一目置くほど敏腕であるのは周知の事実である。
「結婚制度における男性のリプロダクティブに関する権利が、女性のそれと同等には守られていない、男性差別的なものになっているのはデータを見てもわかりますし、近年では生物学的な性差だけではなく女性の方が大きく平均寿命が上です。科学的に生涯感じる幸福度も女性の方が圧倒的に上と言う結果もあります。参考程度に頭に入れてもらえれば」
「ありがとう。まあ何とかしてみるわ。ただ相手が多少厄介なのが問題点なのよね」
自販機に到着すると阪形さんはスマホをかざした。
「さあ好きなものをどうぞ」
「ではお言葉に甘えて」
私は当初の予定通り缶コーヒーを購入した。
「勿論、男性優位な部分をあげればキリがありませんが相手がどう言った事を主張して来るかわからない以上後は阪形さんの腕次第ですね」
「あたしも普段からそこは不満に思っている部分ではあるし相手が言ってきそうな事は大凡予想もつくはずなんだけど…相手が『飯間寺満一』なだけにね」
「なっ…飯間寺ですか…」
飯間寺満一…
その忌々しさたるや、こいつが口を開けば文字通り耳が痛くなる事請け合い。マンドレイクよろしく、討論相手は2度と飯間寺の声を聞く事をごめんこうむる事だろう。
それほどに結論争議委員会の厄介者として鎮座ましましている。
我々の様な飯間寺と違う政党の者なら勿論の様に相対したくない人間である事は間違いない。
高齢議員が多いこの老輩渦巻く政治の世界で、飯間寺は私にとって唯一、同性の同い年であり、同じ衆議院ではあるものの私にしても飯間寺にしてもその程度の事が別段親睦を深くするきっかけになり得る訳がなかった。
保守派のあいつが革新大賛成思想の私と馬が合う訳がないし、そもそもあいつのいけすかない顔が気に食わなかった。
やつとはなるべく関わらぬ様、致し方ない理由でバッティングする際もショウリョウバッタの如く息を潜めていた。
そんなどちらかと言えば大嫌いな飯間寺が相手となれば是が非でも阪形さんには勝っていただきたい。
「何か策はあるんですか」
「心当たりがないからあなたのところに来たんじゃない。まあ強いて言うなら確実に資金格差については強く主張してくると踏んでるからそこで逆転の一手が打てれば…」
「なるほど、たしかにその現実を正当化する提唱は詭弁であってもそうそう思いつきませんね」
このご時世ペイが少なくて得なんて事がある訳がない。断言してもいい課税所得を計算した後ならいざ知らず、そう言ったレアケース以外でそれを幸福に感じられる人間は日本人にはまずいないだろう。少なくとも一般人は間違いないと言っていい。
ならば性別だけで給料に上下がつくのは誰が見ても不当だ。性差がでるような職業以外で男性の方が優秀だ、とか女性より業務をしっかりこなすと言った事はまずない。
ここに性別の区別はなく、どちらにも優秀な、人間もいれば怠け者も要領の悪い人間もいる。
これを提示されればたしかにほぼ反論の余地がない。
故にこれにカウンターを決める事さえできれば勝利に大きく近づく。
「ナンセンスですが女性を雇用すると企業側に産休や育休へのリスクがあると言ってみるのは」
「産休なんて3ヶ月程度よ?それで生涯もらう給料に格差がつき続けるのは不条理よ。交通事故にあって大怪我しても条件は同じじゃない。それに育休に関しては男性も取れる制度よ、それを男は取ってはいけない、必ず女性が取れと言う企業が多くあるならまさにミソジニーだと思うけど?」
「まあ確かにその通りですが、女性は寿退社も多くしますし」
「それもここまでのしきたりや固定概念があるからこその因果関係もあると思うわ。女性は家にいて家庭を支えるものと言う男尊女卑の悪しき風習があるからこそ結婚すれば所謂主婦にならないといけないなんて言う常識が日本人全ての脳に刷り込まれてるのよ」
「それを幸せに思う女性も多くいるとは思いますが」
「まあね、そこは強く推していきたいけど、でも結婚に興味がない女性もいるわよね。彼女達からしたらこう言ったダブルスタンダードは理不尽極まりないはずよ」
「確かに」
私と阪形さんは2人して腕を組み思案に耽た。
これと言って良いアイデアや識見が閃く訳ではなかった。
「兎に角ありがとう。小芭梨君の言った事も参考に妙案の糸口を探って見るわ」
阪形さんは組んでいた手をほどき歯をこぼした。
「これと言った力になれずに申し訳ありません。私の方も何か思いつけばまた連絡します」
そう言って残った缶の中身を一杯目の生ビールの如くグイッと飲み干すとゴミ箱に落とし入れた。
「頑張って下さいね。案ずるより産むが易し。相手が飯間寺でも阪形さんならきっと大丈夫です」
「ありがとう、それじゃ私は資料を集めに行くから。また」
「ええ、それでは」
阪形さんと別れ、歩きながら何か打開策がないか模索した。勿論次の私の議題についてではなく先程の件についてである。
それもそうだ、阪形さんに頼まれたと言う事を差し引いても三日後の私の話し合いは私が負けることになっているから当然である。
明々後日の議論相手は『桧鏡咲子』
彼女にまたしても色仕掛けを強いられ、それだけでなく今回は賄賂も積まれたと言う事もあり、女と金を差し出され私が勝てる通りはまるでなかった。
政治の世界にそのような汚い話があってはならない。そもそも国会議員が法に触れる様な事があってはならないのだ。
しかしこの桧鏡と言う女はそう言った下劣な手段を取る事に関してはスペシャルに秀でている。
百戦錬磨のベテラン議員と『欠席者へのペナルティは必要か不要か』を議論をする前々日にエレベーターや会食するレストラン、はたまた支持者を装い握手を求めるなどしてその議員に総勢16名のインフルエンザ感染者を差しかけた程、とる手段に遠慮がない。
今回の賄賂も実に巧妙かついやらしいやり方で受け渡しされた。がそれは裏金ではなく驚く事に我々は公然で発表できるような受け渡し方をしており一見クリーンなのがまた意地汚い。
理由もなく政治家が政治家に大金を渡すなど誰が見てもやましいくないとは言えないだろう。更に何らかの理由で大金が私の元に渡ったとして特別控除額を考えても所得税贈与税もろもろ考慮すれば課税率も馬鹿にならない。
しかし桧鏡咲子は私の私物を不注意と言う名目で傷をつけ、慰謝料として大金を私によこしたのだ。
まさに補填の裏をついた手口、示談金は課税されないと言う法律の隙をついた方法で賄賂を合法的に可能にしたのだ。
全く何といやらしい事か、信じられん事この上ない。
桧鏡咲子こそ下劣の塊、諸悪の根源、なんと恐ろしい女なのだろうか。
彼女のいきすぎたやり方には多少思うところはあるし、あまりにも私の流儀に反している。
が今回その下卑た守銭奴の使いは何を隠そう私なのである。
私は彼女の話を聞き特に悩む事なく承諾した。
悪魔にいくらで売ったかは知るよしも無いが願わくば私の魂は高く買い取ってもらった事を神に…悪魔に祈ろう。ここまでくれば己の守銭道を貫く事に恥も外聞もない。
愛しいとまでは言わないが我ながらいじらしいではなかろうか。
私利私欲とは言えあまりにも致し方ない。
今の私ほどエデンの園で禁断の果実に手を出したアダムとイブの気持ちがわかる人間はいないだろう。
是非とも彼らとは良き理解者として果実酒片手に夜長一日語り明かし、私の裸芸でも披露したいところだ。
そんな事はさておきこの様な事情から私は、自身の事より阪形さんの次の議案の事で頭がいっぱいになってしまっているのだ。
もし万が一、飯間寺に阪形さんが負ける様な事があれば涙を貯める彼女の肩をそっと抱き私の懐をハンカチ代わりに汚してもらおう。
何か気の利いたセリフをつければもしやするともしやするかもしれん。
いや、いかんいかん。阪形さんの完全勝利以外は言語道断、断固認めない。
と思いながらも私はだらしなくニヤつきながら宿舎に向かった。これでもかと涎を垂らしつつ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます