第9話凛の胸の谷間

「中原君、衝撃浮気みぃ~ちゃった!」

「何だ、弓削ゆげのクソババア!」

水原は中原の背中に隠れた。

「あんたには、ここにいる丸山いずみと言う彼女がいるってぇのに、水原さんと2人キリでお酒を飲むなんて!この、浮気モノっ!」

丸山はキョトンとしていた。

「弓削のババア、オレはいずみちゃんとまだ、付き合ってねぇし、水原ちゃんともまだ、付き合ってねぇよ!この、武蔵丸っ!」

「キィィッ、あんたらこのテーブルに座りなさいっ!」

中原と水原はテーブルの椅子に腰かけた。

「おいッ、ババア黒ビール2つ」

「あいよっ!」

千代の店主のババアは、ジョッキにビールを注ぎ、孫の凛はおしぼりと付きだしを運んで来た。

「こんばんは。中原さん。楽しい飲み会になりそうですね」

と、言った。最近、凛は自分の胸の大きさを強調する服を来て接客している。

「り、凛ちゃん。今夜も一段と胸を強調してるね」

中原は、胸の谷間に釘付けだ!

「や~だ~、中原さん。彼女さんが2人もいて羨ましですよ。……うぷぷぷ」

何と言う夜なんだ!


黒ビールが来たら、4人で乾杯した。

「水原さん、中原さんは私の彼氏なんです。別れて下さい」

いきなり、ストレートで勝負か?

「何、言ってんの?ガキ。中原さんとはもう、エッチしたの?」

丸山は答えに窮した。

「それは……」

「でしょうねぇ、中原さんは左曲がりよ!」

な、何言ってんのコイツ。あんた、それは危険球だよ!ウソはイカン!

「ちょっと、中原君。私にも分かるように説明なさい!」

弓削は熱燗を追加注文して、おちょこをグイッと傾けて、睨み付けた。

「おいおい、ババア。僕はホントに何もしてないんだ。2人から同時に告白されて、悩んでいるんだよっ!」

「またまた~、拓也君、また私を鬼の様に突き上げてっ!」

「み、水原っ!」

「ふん、年増のババアが。中原さんは、いつも私に中出しするの。そう言えば、生理が来てないわ」

「コラッ、丸山も何言ってんだ!」

「中原君、あなたって人は!2人を遊びの道具にするなんて!」

「ば、ババア!オレは何にもしてないの!」

「どうだか……」

「てめえら、明日からオレに喋りかけんなよ!」

中原は黒ビールを一気飲みすると、テーブルに1万円札を置いて店を出た。

その時、凛が中原に手紙を渡した。

頭に来て、1人バーでターキーを飲んだ。何なんだ、アイツらは!丸山も水原も付き合いきれねぇ。

ふと、凛が渡した手紙を思い出した。中原はドキドキしながら、手紙の封を切った。


【来週の週末、映画でも観ませんか?】


はぁ~、まただ!

これも、罠かも知れない。中原は手紙を破って捨てた。

その日は、疲れて帰宅した。一応、カレンダーの来週の土曜日に丸を書いた。

部屋のテーブルには、テープで張り継ぎされた手紙があった。携帯電話の番号とLINEアカウントが書いてあった。

凛は21歳。43歳のオレにどんな気持ちを抱いているのか?確かめたい。

丸山と水原とは、絶対に交際しないと決めていたので、新しい恋の予感がした。

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