第6話そっと抜け出し…
中原は丸山を誘い、居酒屋千代に向かった。
「中原さん、こんな店に入るんですか?」
丸山は千代の外観を批判した。
「だけどね、店内はすごいんだよ」
2人は千代のカウンター席に座った。
「以外に広くて、清潔感のあるお店ですね」
「でしょ?」
「中原さんと、こうしてお酒を飲めるなんて夢みたいです」
中原はハーフアンドハーフを飲みながら、
「大げさだよ!僕なんて、オッサンだよ!」
「年齢は関係ないです。中原さんは人当たりがいいから、営業成績トップじゃないですか」
丸山はレッドアイを飲んだ。
「ぼ、僕は短小包茎なんだよ!」
「……構いません」
「おいおい、19歳も年が離れてるんだよ」
「だから~、年齢は関係ないんです」
「じゃ、これからは飲み仲間になってよ!」
「はい。私、中原さんとお付き合いしたいです」
中原は、ビールをむせた。
「おいおい、……それもアリか」
「じゃ、お付き合いしてくれますか?」
「……即答は出来ないんだ」
中原は総務課の水原の事が気になる女性だったのだ。
「これからの飲み会は私も参加して、私を振り向くまで諦めませんから」
「ま、まぁ、今日はジャンジャンのんで。おい、ババア、カツオの叩き!」
「あいよ」
中原は店主のババアに注文した。
今日はババアの孫の凛ちゃんが、露出度の高い服を着ていた。
胸の谷間に、男性客は喜んだ。
「あら、中原さん。今夜は彼女さんとご一緒ですかぁ?」
「……」
「中原さん、あからさまに私の谷間見ないで下さい!」
「目の保養じゃ。何て、ふくよかな……」
「中原さん!私のこと忘れていませんか?」
「ごめん、丸山さん」
「ほうら、彼女さんに怒られた。今日はごゆっくり」
凛は厨房へ入って行く。
「ほんと、中原さんは風変わりな男性ですね」
「そ、そうかい?」
2人は遅くまで飲み、タクシー代を渡して丸山を帰宅させた。
まだ、10時だから早水に行こうと歩いて行く。
やけに、店内が騒がしい。どんな客だと座敷席を見ると、うちの会社の連中だった。
経理課の弓削に見つかった!
「あら、中原ちゃん。いずみちゃんと抜け出して、あっちもヌイたの?ガハハハハ」
何て、下品なババアだ。
「中原君。こっちの席に移りなさい」
加藤課長もデキ上がっていた。
会社の連中に、丸山との関係を根掘り葉掘り聞かれた。
「まだ、付き合っている訳ありませんよね?」
「当たり前だよ」
水原はホッとした様子だ。
中原は二股はイカンと親の仇の様に、ビールを飲み、記憶を失った。
目覚めたら、そこは加藤課長の家の中であった。
タクシーを呼んで帰ろうとすると、
「中原君、朝まで居なさい。明日は土曜日だし。シャワー浴びて来なさい」
「あ、ありがとうございます」
中原は、課長の好意に甘えた。シャワー上がりに、しじみ汁をいただいた。
それから、朝までグッスリ寝たのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます