第5話バーベキュー

今日は、会社の屋上でバーベキューをする日だ。中原は仕事は午前中にあらかた済ませて、材料や道具を運んだ。

中間庭にも手伝ってもらった。

営業課の連中は皆参加する予定で、経理課の中原ファンの女性も参加する予定だ。

中原は、経理課の誰が自分のファンか分からない。彼は楽しみにしていた。

5時半。

バーベキューが始まった。大島が手際よく肉を焼いていく。

酒は加藤課長が準備してくれて、氷のバケツの中に缶ビール、缶チューハイが冷やされている。

少し遅れて、経理課の女子社員が合流した。

弓削なつき(50)と、政本梢(52)であった。

「か、課長、弓削さんと政本さんが僕のファンなの?」

「あぁ、そうだ」

「何だかな~、総務課の水原と、田中で十分ですよ」

「中原君、せっかくだから、2人と話してこいよ!」

「えぇ~、ま、少しだけ」


「初めまして、営業課の中原です」

「あなたが、噂の中原さん。思ったより、ガタイがいいわね。私は弓削なつき20歳。こっちは政本梢19歳」

「どう、見てもそんなに若くないですよね」


「まだまだ。50代は乙女なのよ」

「今日はジャンジャン飲んで食べて下さい」

「あら~、中原さんは男前だね。優しいし。まだ、丸山さんが来てないわね」

缶ビールをごくりと飲んだ中原は、

「丸山さんって、誰ですか?」

「入社2年目の女の子よ。その子が中原さんと飲みたいって五月蝿いのよね」

2人は焼けた肉を食べながらそう言うと、

「お待たせしまさした。皆さん」

「君は誰だい?」

「経理課の丸山いずみです」

「若いよね?」

「はい、24歳です」

「き、君が丸山さんかぁ。今日はありがとう」

「私、バカな人大好きなんです」

「ば、バカ?」

「はい、営業先で必ず笑いをまぶすんですよね」

「ま、まあね」

「坂本さんから、噂は聞いていましたが、思ったより、かっこいいですね」

中原は、バカにされてるのか?誉めららているのか?分からなかった。

「丸山さん、バーベキューが終わったら2人で飲みに行かない?」

「えっ、いいんですか?」

「もちろん、チャンスは今だ。ずらからろう」

「はい」

2人は会社屋上を後にした。そのことを誰も気付いていない。

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