第11話 修羅場?【後編】

 恋愛系の映画やドラマというのは主に女性目線で作られていることが多い。原作が少女漫画ということも珍しくはなく、登場人物がイケメンで固められていることもしばしある。そのため、男である俺からすれば、ほとんどの場面で共感性が生まれない。ましてや「壁ドン」や「顎くい」などすれば、どれだけ仲がいい女友だちであってもその時点で関係性が終わりかねない。要するに顔。顔さえ良ければ、恋愛系の映画やドラマでよくあるシチュエーションで世の中の女性たちを胸キュンさせることができるだろう。

 しかし、現在に至っては胸キュン映画を見ているはずなのに俺は別の意味で胸ギュンしていた。

 館内の指定席にて俺をサンドイッチするかのように両サイドに彼女と後輩がそれぞれ座っている。

 映画を見に来たはずなのにそれどころではない。むしろ両脇は俺を挟んで、終始睨み合いの火花を散らしていた。


 ––––今すぐここから立ち去りたい……。


 ふと、そう思ってしまったが、両腕は彼女らにガッチリとホールドされている。紗奈はともかくとしてなぜに白花さんまで?

 状況がよく理解できないまま、物語は佳境へと差し掛かる。


『風磨は私とあの子、どっちを選ぶの?』


 主人公(ヒロイン?)の一人がそんなキザなセリフを吐く。

 そう言えば、今観ている映画は純愛ものだったはず。数年間離れ離れだった幼馴染と大学で再会するが、その男の子には可愛い後輩の彼女がいて、主人公は葛藤しながらも諦めていた。だが、幼馴染と昔話をしたり、行事などで一緒に行動していくうちに互いの距離が急接近して、両思いになってしまう。そのまま付き合ってしまうのかとも思ったが、幼馴染は後輩のことも好きでどちらも選べないままずるずるといってしまうというどこが純愛なのかわからない変な映画だ。

 どちらかというとNTRにも近いような気もしなくはないが、優柔不断の幼馴染には本当に胸糞悪い。おい、そこ俺と代われや!

 という冗談はともかくとして……


「裕くんは私を選ぶの!」

「いいえ、先輩は私を選ぶはずです! 大体、幼馴染なんて負けヒロイン確定じゃないですか。ポッと出の女の子に奪われるのがオチです!」


 こいつらは一体なんの争いをしてるんだよ……。

 ともかくここは映画館だ。俺たち以外にも観客は大勢いる。


「お前ら少しは静かにしろ。他の人に迷惑だろ」

「「ごめんなさい……」」


 注意を促すと二人は素直に謝った。

 が、相変わらず火花を散らしていることには変わりない。

 俗に言う犬猿の仲というやつなのか……初対面でここまで歪み合うということはそれだけ馬が合わないと言うことなのだろう。

 少なからず俺が原因であることには変わりないだろうけど。


【あとがき】

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 サブタイトル間違ってた。

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