第15話新たな出会い(2)
「おい、奴隷商。こいつをもらう。幾らだ?」
「ありがとうございます! 金貨四百枚です」
先の貴族の男が支払った額の倍の金額を請求してきた奴隷商に再び短剣を向けて、魔力を放ちながら威圧した。
「さっき取引していた男が支払った額よりかなり多い気がするが、俺を素人だと思ってやっているのか?」
「め、滅相もございません! あなた様が選んだこの商品はハーフエルフでとても貴重なのです! ですから貴族の方でも易々購入できない代物でして」
なるほど、確かに彼女の耳は人間のそれとは異なり、異様に伸びていた。髪は青みががっていて、瞳は綺麗な瑠璃色の瞳をしていた。年齢にして十代半ばくらいだろうか、それにしては目鼻立ちが整っている。もしかして俺はこの奴隷市場の目玉商品に手を出してしまったのかもしれない。
だが、それであっても俺はこの子以外有り得ないと決めていた。
「そうか、それで構わない」
「わかりました。それでは手続き諸々はこちらで」
そう言われて、俺は奴隷商に連れられて奥へと足を運ばせた。そこで金貨を支払い、契約書にサインをした。冒険者ギルドで換金してもらった金はほとんど失われてしまったが、幸い数日分の資金は残ってくれた。
「ではこれより奴隷紋を彼女に付与して取引完了とさせて頂きます」
奴隷商の男は彼女の胸元に紙に描かれていた魔方陣を押さえつけ、何やら特殊なインクのような物を垂らした。その途端魔方陣が描かれていた紙は光を放ちながらみるみる彼女の胸元に吸い込まれていた。
契約の儀式が終わったのか、彼女の胸元には赤い魔方陣が刻み込まれていた。
「これで彼女はあなた様の奴隷となりました。あなた様の命令には絶対服従、死ねと命じれば死にます」
「そうか、行くぞ」
「は、はい!」
俺は彼女を連れて奴隷市場を後にした。
彼女を連れて暫く歩いていると、周囲の視線が集まっているのがわかる。流石に一目見ただけで奴隷だとわかる格好をさせていては俺もあの天竜人もどきと変わらないからな。
そうと決めたらまずは彼女の服を見繕ってやるか。
「おい、これからお前の服を買いに行くから好きな物を買っていいぞ」
「え? とんでもございません。ご主人様にそのような無駄なお金を払ってもらう訳にはいきません」
「いいから、俺がそうしたいんだ」
「ですが……」
俺の言葉にあまり乗り気ではない彼女を無視して、洋服屋に辿り着いた。
「すみません、こいつに似合いそうな服を三つほど見繕ってもらえませんか?」
俺が店員に声をかけ、その店員が彼女を連れて試着室に向かった。いくら道具とはいってもあの格好は流石になしだ。これは必要経費だ。どのみち冒険者として稼げば問題はない。
暫くして試着室のカーテンが開かれた。そこから現れた彼女は綺麗な純白のワンピースを身に付けていた。彼女の綺麗な青い髪と相性も良く、悔しいが見惚れてしまった。
「ど、どうですか?」
「ん? いいんじゃねーの?」
俺の言葉を聞いた彼女は顔を赤らめていた。私服はそれともう一点購入して、後の二つは動きやすい格好のを見繕った。三着の筈が四着になってしまった。まあいい、これも必要経費、先行投資だ。
彼女の服を購入し終えた俺たちは星の雫亭に向けて足を運ばせた。そんな道中何かを疑問に思ったのか彼女は唐突に俺に向けて言葉を放つ。
「あ、あのご主人様!」
「なんだ?」
「どうしてこんなによくしてくれるんですか? 私は奴隷の身なのに、それにさっきは道具だって」
「あのな、お前は俺の道具だ。それは変わらない。だが仕事をしてもらう以上対価は支払う、それが俺のやり方だ」
そう言い切り閑話休題。
再び歩みを進めた。彼女も大体は理解できたのかそれから先は特に会話もなく星の雫亭に辿り着いた。
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