第4話

 20××/07/01 PM22:10

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 20××/07/01 PM21:10


「んぐっ!?」


 その場で体がビクビクと震えた後、俺は目的を思い出した。タイムリープ成功だ。腕時計で時間を確認すると、今はPM21:10。沼川秋を追って俺は既に廃ビルに潜入していた。急がなければいけない。俺は全力で屋上を目指した。


 屋上に飛び出ると、彼女は今まさに飛び降りようとしている瞬間だった。俺の姿を確認したので動きを止めたという感じだ。


「...誰?」


 無感情な濁った目で彼女は俺を見た。死んだ魚のような目をした奴だな。さて、こんなときは何を話せばいいんだろうな?


「ああっと、止めといたほうがいいぞ。たぶん物凄く痛いだろうしな?」


「...あなたには関係ない」


「関係ないって事はないだろ。一応クラスメイトだしな」


「...私のことなんて何も知らないくせに、邪魔をしないで」


「...ああ?」


 こいつ、今なんて言いやがった?暇潰しとはいえ、一応クラスメイトとしての義理で飛び降りを止めてる俺を「邪魔」て言いやがったのか?...はあ。なんかもうどうでもよくなっちまった。早く終わらせて次に行くか。


「そうか。じゃあさっさと飛べよ」


「...え?」


「どうした?俺は邪魔なんだろ?だったらビビッてないでさっさと飛べよ、面倒だな」


「...っ! 言われなくても飛ぶわよ!」


 それから一瞬で彼女は空中にジャンプし、落下した。響き渡る肉が弾け飛ぶ鈍い音。下を見てみると、彼女は前回と同じく、潰れたホットケーキのような姿になっていた。


「...やっべえ。これ自殺教唆とかになるのかな?」


 ついイラついて本音が出てしまったが、まさか本気で飛ぶとは思わなった。今回は完全に失敗だ。まあ次頑張ればいいか。


「よし。帰ろう」


 俺は地面に置いていたバッグを手に取り、帰宅した。



 20××/07/01 PM22:10

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 20××/07/01 PM18:10


「今回はちゃんと準備して行くか」


 前回も前々回もそうだが、たぶん俺が制服だったからあの女に舐められたんだろうな。やはり飛び降りを阻止できるレベルの衝撃的なシチュエーションを用意するしかない。そうなると、今のままの俺ではダメだな。


 俺はクローゼットから黒スーツを取り出し、着替えた。そして最後に、とっておきのマスクを手に取る。このバナナの形をしたマスクは、いつだって俺に勇気と希望を与えてくれた。バナナのマスクを被り、俺の変身は完了する。鏡の前には、最高に素敵なバナナのマスクを被ったイケメンな男が映し出されていた。


「___俺は、バナナマンだ!!」

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