第14話 愛してるゲーム(?)2回戦目〜あの日見たゲームのレギュレーションを僕たちはまだ知らない〜

 さて、一回戦目が無事(?)終わり、ついに二回戦目、つまり俺の番がきた。


 はぁ、まったくやる気が出ない。


 しかし、そんな俺に対し……、


「じゃあやろっか♪」


 さっきまでが嘘のようにノリノリな奏。何でこいつはこんなにもやる気に満ちあふているんだ?


「はぁ〜、気が乗らねぇ。」


 俺はそう呟きながら奏と向かい合う。……改めて見ると雪に負けず劣らずかなりの美少女なんだよな〜。あとは性格さえ良ければ……。いや、それは雪もか。


「むぅ、今失礼なこと考えたでしょ。」

「そんなことないぞ。もうちょっと性格が良ければな、と思ってただけだ。」

「思ってるじゃん!」

「でも、実際あなたの性格最悪じゃないですか。」


 奏の悪口を嗅ぎつけて会話に混ざってくる雪。……こういうところだよね。性格って。


「お前も大概だよな。」 

「失礼ですね。私は天使の如き可愛さと女神のような性格を持っていますよ?」

「性格良いやつは自分で性格良いとは言わないんだよ。」

「可愛いって部分は否定しないんですね?」

「……うるせぇ。」

「ふふっ、かわいいですね、先輩。」

「おい、やめろ!」


 嬉しそうに笑いながら、頰を人差し指でぷにぷにしてくる雪を俺は無理矢理引き剥がす。


 まったく何をしたいんだか。


 まぁ,とりあえず進めるか。と、思い奏の方を振り向くが、そこには奏はいなかった。


 どこに行ったんだ?などと考え、部屋を見回していると、


「ジーーーーーー」


 そんな擬音が、実際の音となって背後から聞こえてきた。


 俺が音のした方に振り向くとそこには部屋の角で毛布にくるまった奏がジト目でこちらを見ていた。


「なんだよ。というかその擬音実際に言うやつ初めて見たんだが。」

「いや?何でもないよ。ただ、コラボは3人でして実際に3人でこの部屋にいるのに、ちょっと目を離した隙に2人の空間作ってるカップルは爆発しないかな〜、とか思いながら居心地が悪くなっただけ。」


「いや、カップルじゃないわ。」

「そうですよ。今のどこにカップルを感じられるところがあったんですか。」

「はぁー、そんなこと言って実際気づいてるんでしょ?それで私に見せつけてるんでしょ?はいはい、そうですよ。私は結局ただの元カノで、負けヒロインですよー。」


 そう言って毛布に顔を埋める奏。……なんか匂いを嗅いでいる気がするのだが気のせいだよな……?


 しっかし…………、はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜(クソデカため息)。こいつめんどくせぇぇぇぇ!


 ・ナコたんノリノリで草

 ・さっきまでとは大違いw

 ・ジンくんとナコたんの意欲の違いよ

 ・エスパーナコたん

 ・考えてるじゃねーかw

 ・ここぞとばかりにメアちゃん参戦

 ・メアちゃんも大概悪そうだけど……

 ・ジンくんプレミしたな

 ・てぇてぇ

 ・ジンメアてぇてぇ

 ・あれ?もしかして2人配信?

 ・なんか、もう……心が浄化されていく

 ・尊い

 ・ジーーーーw

 ・ナコたん拗ねててかわいい

 ・すまん、正直ナコたんのこと忘れてたわ

 ・どこからどう見てもカップルだろ

 ・逆にどうやったらカップルじゃなく見えるのか

 ・ナコたんめんどくさい彼女みたいになってるw


「おい、んなこと言ってないでやるぞ。配信が進まん。」

「ふん、そんなの2人で勝手にやってればいいんだよ。ほらほら、私は静かにしてますから。そこでイチャイチャしててどうぞ。」


 はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜(クソデカため息2回目)。


 もう、こいつ本当にほっといてやろうかな。……でも、こいつ立ち直らせないと配信進まないんだよな〜。


 などと俺が奏の面倒くささに参っていると、



(先輩、先輩!)


 雪に小声で呼びかけられた。


(どうした?)

(ふっふっふっ、私良いこと考えました!ここであの女を戦闘不能にしてしまいましょう。先輩、頭撫でながら「大っ嫌い」って言ってきてください。)


 そして、そんな道徳心の欠片も見えないような提案を出される。……こいつ、さてはこの15年間道徳の授業受けてないな?


(いやお前鬼かよ。人の心がないのか?)

(あの女にかける情けなんてありません!)


 ……俺ちょっとあいつのことが可哀想になってきたわ。


(でも、あいつ起こさないと一生配信進まないぞ。)

(…………確かに。言われてみればそうですね。くっ、チャンスだったのに……。)


(おい!)


(……あ、それじゃあ先輩、あの女に適当に愛してるって言ってきてください。どうせそれで立ち直りますよ。それに、愛してるゲームも終わりますし。)

(んな雑な……。)



 奏を起こさなければならないと分かった途端適当なことを言い出す雪。……簡単に言ってくれているが、それめっちゃ難しいんだけど……。というか、いきなり愛してるって言うのめちゃくちゃ恥ずかしくないか?


 でも、あいつを起こさないといけないのも、愛してると言わなければならないのも事実なわけで……、


(はぁー、しょうがない。)


 俺は一つため息をつき奏の方へ向かっていく。


 ……しかし、適当に愛してるって言えとは言われたが…、どうやって言えば良いだろうか。


 普通に無愛想に愛してると言ってもあいつは立ち直りそうにないしな……。


 え、てかなんか軽い感じで言おうとしてるけど普通に恥ずかしいんだが?…でもな〜、ここで引き返すわけにも行かないし……。


 ……まぁ、勢いでいけば多分いけるだろ。後のことは後の自分に任せれば良い。…後で後悔するのは分かっているがな、はっはっはっ。


 さて、じゃあどんな風に言うかだが……、まぁ、あいつ声フェチだし、耳元で囁けばいけるか。


 そう決めた俺は部屋の隅で蹲っている奏の前に立つ。


「……何?」


 野生の小型犬の如く近づいてくる俺を威嚇する奏。


 俺はそんな奏にいきなりスッと近づき顔を奏の耳元の辺りで止めると、優しい息遣いで囁く。


「ナコミ、愛してる。」

「へ?」


 瞬間、と奏はフリーズした。あれだけ威勢よく睨んでいた奏は突然のことによる困惑と、衝撃によって。


 そして俺は……、


 うがあぁぁぁぁぁぁぁ‼︎めっちゃ恥ずかしい!やばいって!え?俺何言ってんの?普通にキモくね?


 恥ずかしさでフリーズしていた。


 え?てか、奏まったく動じてないんだけど。俺がこんだけして収穫0?マジかよ……。もう死にたい……。


 俺は助けを求めるかのように雪を見る。


 ……助けてクレメンス。


 しかし、そんな俺に雪は予想外の言葉をかける。


「トドメ刺してどうするんですか、先輩!だから適当にって言ったじゃないですか!」

「え?」


 隣からバタッという人が倒れるような音がした。俺は音のする方、つまり奏がいる方に目を向けるとそこには………頬を紅潮させ、幸せそうに仰向けになった奏の姿があった。しかも、ご丁寧に両手を絡ませお腹の上に置いている。


「お、おい大丈夫か?」

「我が人生に一片の悔いなし……。」

「それで良いのかお前の人生。」


 どうやら効果的すぎたようだ。まーた面倒くさいことになりやがった。まったく、俺たちはどれだけこいつに振り回されなければならないのだ。


 ・完全に拗ねてやがる

 ・ため息の大きさよ

 ・なんかジンくんとメアちゃんがコソコソ喋ってるけど……

 ・悲報ナコたん、またもや仲間外れ

 ・お?ジンくんなんかするのか?

 ・うおー!

 ・ついにナコたんにターンが回ってきた!

 ・あれ?ナコたん無反応?

 ・いや、そもそもアバターは元々動いてないんだけど……

 ・トドメ刺してて草

 ・安らかにな、ナコたん

 ・ナコたん成クレ〜

 ・みんなナコたん諦めてるの草



 こうして、愛してるゲーム(?)の二回戦目は俺の勝利という形で終わった。さてさて、次はついに最後の三戦目である。


 ……でもあれ?今のところ誰もまともに愛してるゲームやってなくね?



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 はいはい、どうもー、一週間ぶりの作者です。いつの間にかテストが迫ってきて、三日後がテストなので次の更新も多分一週間後です。


 要件はそれだけ!


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 それではまた。







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