第3話 保護猫、No3
保護猫、No3、本当は余り書きたくは無い…。
家の家系では、来て欲しく無いし、飼いたくも無い…。
「ギーッ!、ギーッ!」
家に帰宅するとそんな声が響いて居た、何の声だ此れは?。
想像したくは無かったが、多分誰かがなんか拾って来たんだろう、直ぐに想像は着いた、唯何の声だ此れは?、犬や猫とは違う様だ、通常の鳴き声とは違う悲鳴が家中に響いて居た。
何かと思い玄関を入りリビングを開ける、人間モドキと仔猫モドキ達が二匹段ボールを覗き込んで居た、カビゴ〇の帰宅に気付かぬ様だ、まあ其れ位の存在感と言う事だ。
悲痛な叫び声が響いてる、朝は7時を廻った位に家を出るのだが、帰宅は何時も22時近い。
今日も22時を少し回っての帰宅に為って居た。
何事かと皆が覗き込む段ボールを其の上から覗き込んだ、息が止まる…。
「何が有ったんだ?、何でこんな事に為って居る?」
覗き込む先には、多分生後二か月経ったのかと言う位の黒白の仔猫が居た、如何見ても良い状態じゃない、後ろ脚は惨い状態、一目見て何かに喰われかけた状態、腰にも噛み跡が有る。
「鳴き声がして表に出たら此の仔が居たの!、食べられそうに為ってたの!」と人間モドキ。
「二人で出て行ったら逃げて行った!」人間モドキが産んだ仔猫モドキが言って居る。
でもおかしい此の辺に野犬は居ない、猫同士の喧嘩は良く有るし其れで怪我した猫は良く居る、今回は違う噛み傷から喰われてる、そんな生き物が居たか?、この辺に思いつかないが…。
「アナグマか、アライグマだと思う、逃げて行ったの!」そんなもんが此の辺に居るとは思いもしなかった、此処は市街地の住宅街、都心程では無いが一応街中、其れに喰われかけたのか…。
時間は未だ30分経って無いらしい、此の当時車の免許の所持者は私だけ夜間の動物病院へ、其の惨状に直に手術室へ、片方の後ろ脚は縫合し固定されて、背骨も折れて其処も固定されたが。
歩けるか如何かも分からない、唯、付け加えられたのは一週間、其処迄持つか如何か其れを過ぎれば可能性も在ると短く…、其処で未だ自分のペットとして飼った事の無い一匹が言った。
「この仔は、あたしのペット、面倒見る!」高校最後の学年の夏休みに入ったばかりで就活中だ、何時でも様子が解るからとリビングに置かれた箱、付きっ切りで其処で過して居た…。
4日目迄は少しもぞもぞ動いて居て、時々動いて抱っこを所望して居た、結構イケメンな猫と言ったら良いのだろうか、顔には傷一つ無く随分お気に入りの様で殆ど傍を離れなかった…。
五日目の夜から容態が変わる、鳴かない、中々動かない、口元に運ぶも餌も、水も殆ど摂れなく為って居た、病院に連絡するも解っていた様で、電話口で告げられる。
「苦しんで無い様ならば、知らない私に触られ、其の侭逢う事が出来なく為るよりも…・。」
やはりそう言う事か辛い事を言わねば為らないか、如何してこんな役ばかり回って来るか…。
俺が昔に行った事でこんな事が回って来るのか?…、否定したくても出来はしないか…。
「電話したが家に置いて上げて欲しいと、そう言われた言ってる意味は解るよな?」
「うん分かった!、家に居て良いんだね?」眼にいっぱい涙を湛えて、ニッコリ笑ってる。
「良かったね、ずっと此処に居て良いんだって、お姉ちゃんと一緒に居ようね。」
「じゃあ、名前付けなきゃ!、お前<ヤマト>だよ、覚えてね!」
箱を退き込みながらそう呟き、幾つも、幾つもの雨がお腹に巻かれた布の上に零れていた。
アナグマは日本の在来種でも有るから強くは言えないが、アライグマだとすると飼ったは良いが懐かない、狂暴、メンドクサイなどの理由で捨てられた物、結局人間の身勝手と言う事か…。
五日目、更に鳴き声は小さくなる、殆ど寝ずに見て居る様だ、そう人間モドキに告げられる。
勉強が大の苦手で進学せずに就職希望、成績は俺と粗同じ、頭は悪く無い筈なんだが…。
何も特技も無く資格が有る訳でも無い、成りたい物も無い、卒業したら就職入学時点からの本人の希望、然も誕生月は三月、免許すら在学中に取れない、不利な条件だそんな時に此れは…。
就職案内を見に行かねば為らぬ筈、其の学校にさえ登校せず、片時も離れず容態を見続けていると告げられる、明後日から俺は夏季休暇に入るそんな時期にこんな事態に成ろうとは…。
「俺が見てるから少しでも寝て置け、お前が転寝した時に容態が変っても気付かんぞ…。」
「うん!、判った一寸寝て来るね、何か有ったら叩いてでも起こしてね!」自室に向かった…。
余程疲れて居たのだろう朝まで戻って来る事は無かった、お蔭で徹夜する事に為る、まあ昔取った杵柄か…、希望した仕事それに就いた時に体質も変ってる、三時間も寝れば充分だから…。
翌日仕事を終え帰宅の為自家用車を転がして居た、電話の呼び出し音が鳴る、勿論車に備わる機能でハンズフリーです!、電話に出たのは人間モドキ、後ろで仔猫モドキの泣き声…。
「今、替わるから話して上げて」鼻を啜りながら、人間モドキに告げられる。
「ヤマトが逝っちゃったよ、ちっちゃく鳴いて逝っちゃったよ…」仔猫モドキも泣いて居た。
そうか旅立ったのか、でも最後迄付きっ切りだったんだろうから、良かったんだろうな…。
「顔は如何だ?、どんな顔してるんだ?」苦しまなかったんだったら良いのだが…。
「ヤマトね、まるで寝てるみたい、あたしの腕の中でただ眠くて寝ちゃったみたいだよ」
鼻を啜り、泣き笑いする様に伝えて来た、苦しまずに済んで良かったな其れだけが救いだ…。
自宅の玄関を開けると、一匹を中心にしてモドキ三匹が囲んで居た、抱いた儘で離そうとしない、季節は夏、そうして居たい気持ちは解るが腕から嘗て仔猫だった者を取り上げた‥。
「抱いてるの!、可哀相でしょ!、何であたしから取り上げるの!」猛烈に抗議された。
「此の儘じゃお前の大好きなヤマトが、大好きなヤマトの匂いじゃ無く為るぞ良いのか?」
「直ぐに連れて来て上げるから、少しだけ待ってて呉れよ」大きく頷いた、小さな段ボールの底に冷却材を入れ、ふわふわのバスタオルを上に敷く、硬直が始まる前に静かに寝かせた…。
準備も終わり、その仔の元へ返して上げる、一晩中撫でて居た…、翌朝霊園に連絡を入れ受け入れ可能の回答、其の足で少し離れた赤城の山を登って居た、ホントに良い子だったんだな…。
今日此の侭荼毘に臥す、明後日からお盆の入りだから、此の侭今年が初盆だ何と良い子なのだろう、手間を掛けさせない様にするとは…、車中も寒い位に冷やして赤城山を昇って行った。
車中ずっと撫でて居た、一週間も居なかったのに、遊んで上げた訳でも無いのに、楽しい思い出が有る訳でも無いのに…、お気に入りのカバンに付けていた小さなピカチ〇ウが箱の中に…。
そして見えるかどうか位の薄い煙が昇って逝く、モドキ三匹はずっと見上げた儘だった…。
送り盆の日、赤城山を車で昇って居た、献花台にシ〇バと猫のカニカマが上げられていた…。
半年が過ぎ、もうすっかり元気を取り戻したモドキと共に列車に載って居た、向かう先は都内の虎ノ門、此れから就職面接、時間の指定は17時?、変わった会社だなと思ってた。
此奴実は一人で列車に乗った事が無い、其の上都心に一人で行った事も無い、迷子に為るのは必至、お蔭で迷子防止で同行する事に為る、そう都心は嘗て俺の戦場だった処だから…。
今回は信じられない事だらけ、初めて募集が来た会社、港区虎ノ門の全長200mは在ろうかと言うオフィスビル、そのワンフロア全て其の会社、成績下位の此奴には無理じゃ無いのか…。
ただ信じれぬ事も有った、初めての面接緊張するだろう俺だってそうだった、だが仔猫モドキ信じられぬ奴だ普通緊張しっぱなしの筈、我が目を疑った車中で寝てやがったグッスリと…。
全く緊張せずに受け付け通過し消えて行った、約一時間後出て来やがった悲壮感などありゃしない、ニコニコしながら出て来やがった、まあ面接がどんなものか判ったので良かったのか…。
「さあ行こう!、何処に在るか判んないからポケ〇ンセンター!」全身から力が抜けていた。
「面接は如何だったんだ?」そう聞いたが答えなかった、そう言う事か手応え無かったか…。
面接は仮の目的、此方が本命だったのか!、まあ良いか落ち込むよりも…、次の会社が見つかると良いなそう思う事にした、八重洲に向かう此奴の本命の目的地へ、目一杯堪能した様だ…。
帰りの新幹線の中、終始ニコニコした儘で御満悦と言った所か今日の面接は何処に行った?。
「今日家を出て来る時にヤマトに行ってきますと言って来たの!」そう言っていた。
「そうか、で如何だったんだ面接は?」何度も人間モドキからメールが届いて居たしつこく。
「うん!、何時免許取れるの?って聞かれたよ、其れまで如何やって通うか聞かれた。」
「如何言う事だそれ?、意味が解らんぞ?」
「駅前の方じゃ無くて、もう一つのモールだから遅い時間は帰りのバスが無いの!」
「帰りのバスが無いのか?、で其れが解決するとどうなるんだ?」
「帰る方法が決まれば教えて呉れるって言われたの、学校通して報告してって言われた!」
「お前其れって?」
「そこのお店は遅番は22時迄だから、未成年だから帰る方法だけ決めてって言われた。」
「何で先に其れを教えないんだ!」
「だってポ〇モンセンターが終わっちゃうから!」
全身から全てが抜けて行く様だった、コイツ乞う言う奴だった…。
学校への初めての募集、生れて初めての就職面接、何も躓かず就職先は決まって居た、免許取って、初心者マークが取れる迄の間は俺が会社帰りに拾って行く事にして就職先が決まった。
今も元気に通ってます、今は職場まで自分で運転して…、今も机の上に写真が在ります。
きっと此奴の事が大好きだったんだろうなあのちっちゃな子猫は、多分ヤマトのちっちゃな恩返しだったんだろう…。
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