第41話 勇者剣聖VS魔族ミルク

勇者でもあり剣聖でもあるソードが聖剣を呼び出した。


他の剣と違いただ身に着けているだけでも超人的パワーを引き出す。



「あら、また羽虫がきたのね」



「魔族の子供か? そこを通してくれ..随分人を殺したんだな?」



「いけないのかしら?」


「殺した理由は?」


「人間だって魔物を殺すでしょう? 同じじゃない?」


「同じだな! だけど、人間は理由があって殺す..お前にも理由はあるのかな?」


「私の大切なワンコを虐めるから..」


「その周りの狼型の魔物の事か?」



「そうよ..」


「それなら正しいのかな?」


その周りの狼が僕ちゃんにとってのルシオラ達と同じなら当たり前だ。


「人間の癖に良く解っているわね」



「それでどうする?」


「人間なんだから殺すわ」



僕ちゃんは近くを見渡した、そこには見知った男と剣が落ちていた。



「そう、僕ちゃんにも戦う理由が出来たわ」


「そう良かったわね!」


素早い動きでミルクは襲い掛かってきた。


だが、ソードにとっては止まっているように見える。


本当に手加減して軽く小突いた。


「きゃああああああああっ」


そのまま、塀にぶつかった。


「あなた、何者なの? 来ないで、来ないで..来ないでよー」


殺されると思ったのか涙ぐんでいる。


そのまま近づき、足を握って釣り上げた..


「嫌だ、嫌だ、嫌だ..」


そしてパンツをはぎ取った。


「辞めて、辞めて..まさかしないよね..犯したりしないよね」


「しないよ」



「あっ」


パンッ、パンッ..僕ちゃんはお尻を叩いた。


「嫌だ、痛い、痛い..辞めてよ!」


「そこに転がっている奴な..僕ちゃんの知り合いだったんだ」


パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン


「痛い、凄く痛いよ、辞めてよ、もう腫れあがっているよ..茶色くなって腫れちゃっているじゃない、痛いのよ」


パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン、パーン


「ごめんな..さぁい..辞めて、辞めてってたら」


「これは魔族だからじゃない! 人間の子供が悪い事したらするお仕置きだ..魔族だからしているんじゃない..人間だって悪い事したら同じ様にする」


「ひく、グス、スンスン、もう辞めて..スンスン」



「良いよ、終わりにしてやる..だが覚えておいて、君は僕ちゃんの知り合いを殺した..その君を僕ちゃんはお尻叩きで許した..僕ちゃんだって知り合いが殺されたら怒るし悲しい..君がワンコが死んだら悲しいのと同じだ..だけど、許した..その意味を考えて」


「解ったよ..お兄ちゃんが正しいよ..ひくっスン..魔族は強い方法が正しい..そうだよ..」


「だったら、魔族領に帰れ、それでおしまいで良い」


「解った」



ミルクはそのまま、シルバーウルフを含む魔物を引き連れ去っていった。



今回、僕ちゃんは魔族を極力殺さないで戦おうと決めていた。


相手は殺しに掛かってきた、それに対してこちらは極力手を出さないで返した。


この意味を解って貰う為だ。






殺されたのがガンダルで良かった、もしルシオラ達だったら魔族は皆殺し..そうなったと思う。


ガンダルは気の毒だ..結局はセトにメグを譲ってくれた。


恩はある。


僕ちゃんは首を埋めてやり、あげた剣をそのまま墓標代わりに近くの大岩に突き立てた。




それから数十年後、魔族の女で命はとらないが、そいつに負けると二度と座れない程お尻を痛めつける魔族が現れたがそれがこのミルクかどうかは解らない。


ガンダルの墓標は勘違いから、剣聖ソードが唯一とった弟子のお墓として剣を目指す者は敬い拝んだ。


多分、天国でガンダルは困っているだろう..D級冒険者レベルなのに騎士見習いや上級冒険者に拝まれているのだから..



そして僕ちゃんは聖都の門を潜り抜けた。


此処からは恐らくもっと強い魔族が居る筈だ。

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