第36話 人類最大の危機

聖都ユーラシアは既に魔族の手に落ちた。


そう言っても良い状態になっていた。


外で果敢に戦っていた者は全て死に絶え、帝国の皇帝ルビス3世とその側近も王城へ落ちのびて来るのが精一杯だった。



「俺の精鋭部隊が、帝国の誇る騎士達がこう簡単に殺されるなんて..」



皇帝ルビナス3世が王城に駆け込む時に見た光景は無惨に殺された騎士達の死体だった。



最早、聖都で生き残っているのは此処王城に居る人間だけだった。


ここ王城がまだ落とされない理由は2つ。


此処には「聖歌姫ことロザリア」率いる癒し手部隊が居る。


本来は癒しの力を振るう彼女だが、その力の全てを結界を張る事に使っていた。



「ラララララーラララララー」


聖歌姫が歌う、その歌を呪文に載せて結界を張る。


王城を囲む程の結界を彼女達は張り続けた。


彼女の部隊が張るこの結界こそが最後の砦。


「麗しの聖騎士オルト」率いる聖騎士隊。



王国クレの「インペリアルプリンスのアルト」率いる王宮騎士団。


魔道公国マロウの「黒魔術士オルトル」率いる暗黒魔術師団。


傭兵王国グルノの「英雄オウダ」率いる特殊師団。


それらが外を固め、城の中には高位貴族や王族、教皇になったローアンが居る。


だが、既に聖都の人間430万人のその殆どが殺され、此処に居る人数は3000人も居ない。


打って出た所でただ殺されるだけだ。


殺された中には英雄と言われる者や凄腕と言われる者も居た。


それらの強者が簡単に殺されていった様子から見て、如何に各国の英雄クラスの人間や伝説と言われる者が居た所で最早抵抗するすべはない。


だが、降伏する訳には行かない。


ここに居る人間が滅んでしまったら、「人間の世界の指導者」が全滅してしまう。


故に負けを認める訳には行かない。



だが、それも「聖歌姫ことロザリア」率いる癒し手部隊の喉が枯れるまで、終わりの日は近い。



その時こそが人類の指導者たちの滅ぶ日となる。


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