第34話 懐かしい

リアスの街に帰ってきた。


本当に可笑しい!


まだ連絡が無いなんて可笑しすぎる。


まずはセトの所に顔を出して見るか?



ギルドの扉を開けて中に入った。



《すげー勇者パーティーだ》


《あれが、剣聖から勇者になったソード様か凄くカッコ良いな》


《だけど、横に居るのは2人とも偽物なんだよな》


《馬鹿、それを言うなよ! ここのギルマスは偽勇者だったんだから》




正直、余り気分が良く無いな。


自分達は戦わない癖に人の批判ばかりクズにしか見えない。


いちいち文句言っても仕方ないから無視した。



「セトは居るかな?」


「ソード様ですね! 直ぐに呼んできます」




「久しぶりだな! 随分早かったじゃないか? 流石に四天王は難しかったか?」



僕ちゃんは大きな声で言った。


「簡単だったよ! 勇者の僕ちゃんとS級が2人も居るんだ難しくなんて無かったな」



気まずそうに陰口を叩いていた人間は目を伏せた。


僕ちゃんは本当にこういう奴らって馬鹿だなと思う。


偽勇者、偽聖女、偽賢者かも知れないけど、セトは世界で1人のSSS級だし、ルシオラやユシーラはS級。


ギルドではランクが高い者を尊敬するなら、これ以上の人間は居ないのに。


A級やB級ですら選ばれた人間しかたどり着けないなんて言うのなら、もっと敬えと言いたい。


少なくともC級風情が馬鹿になんてするなよな..馬鹿にするならお前達で魔王と戦ってくれ。


そう言いたくなる!


「馬鹿にするなら代わりに魔王と戦ってくれ」本当にそう言いたくなるよ。



僕ちゃんはテーブルの上にデルタの首を置いた。



「それはデルタ...本当に倒しちゃったのか?」


「まぁね..」



本来三人掛かりで負けると言われたデルタをこうも簡単に倒すなんて、スゲーな!



「それじゃ、この首はこちらで預かり報奨金の手続きをしておくよ」


「金貨3万枚位頂戴って言って置いてね?」


「善処するとしか言えない」



「セトはただ伝えてくれれば良いんだよ」


「解ったよ..それでソードにお客さんが来ているよ? 今迎えに行かせた」


「誰だろう?」


「それは内緒だな」



「それで聖都で何か問題が起きて無いか?」


「何か掴んでいるのか? 今何故か聖都と全く連絡がつかないんだ」



今迄静かにしていた、ルシオラやユシーラも話に加わってきた。



「聖都と全く連絡がつかない? そんな事今迄無かったわ」


「ありえない」



「それが、何回か冒険者に確認の依頼を出したんだが帰って来ないんだ」



「急ぎじゃ無いなら、少し休んだら聖都に行くつもりだから僕ちゃんが見て来ようか?」



「そうして貰えると助かる」



多分、聖都は大変な事になっていると思うな。


ただ、魔王は城からは出て来ない。


なら、勇者の僕ちゃんに勝てる魔物は居ない筈だ。



ただ、「僕ちゃん達だけ」に押し付けるんじゃなく、自分達も少しは血を流せ。


それだけ言いたいだけだ。



勇者に戦いを押し付けて日々遊んで暮らす...どう考えても可笑しいよね。


そんな事しないで、弱くても良いから魔物の1匹でも毎日倒せって言いたい。


案外、子供がゴブリンと戦うのと僕ちゃんが魔王と戦うのは同じ位のリスクはあると思うな。



「お久しぶりです、剣聖様! 勇者様!」


「えっルビナスさん!」



「ロリ未亡人が何故此処に」


「何で此処にいるんですか」



懐かしい顔に久々に会った。


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