第27話 ソードの旅立ち
セトからはネックレスを貰った。
三人お揃いの聖銀で出来たネックレスで女神が彫ってある。
勇者らしい贈り物だ。
これでセトとはお別れとなる。
僕ちゃん達は旅を続けないといけないから、もう簡単には会えない。
塩漬け依頼があったら解決してから行こうと思ったがそんな事は無かった。
最もセトなら大概の事は上手くやるだろう。
「それじゃ、セト達者でな!」
「お前達もな!」
「セトもお元気で!」
「元気でね」
「ああっお前達も元気でな!」
「勇者達さまもお元気で」
「メグもな!」
何時まで話していても仕方ない。
僕ちゃん達は旅立った。
四天王、最弱のデルタを倒す為に北の地へ。
勿論、セトに行く先は告げてある。
聖都にはセトのギルドから報告を頼んだ。
これで良い!
聖都は恐らくこれから火の海になる。
本来ならその時にいち早く駆け付けなくてはならない。
だが、そんな事をすれば、僕ちゃんは兎も角、ルシオラやユシーラの命が危なくなる。
だから、最初に聖都の人達に戦って貰うのだ。
その為の時間稼ぎ、それがデルタ攻めだ。
北の地は遠い、恐らくはたどり着く前に報告がくるだろう。
そこから、引き返して聖都に戻るまでかなりの日数が掛かる。
その日数を延ばせば延ばすほど僕ちゃん達の安全が高くなる訳だ。
沢山の死人が出るかも知れないが、僕ちゃんは知らない!
見知らぬ人が何万人死んだ所で別に何とも思わないよ!
誰だって同じ筈だよ!
例えば、遠くの国で数万人の人間が疫病で死んでいたりする事を知っていても助けに行く人って少数しか居ない。
だけど、自分の家族が死ぬとなれば、財産を投げうってでも助けるよね?
それと同じ。
王様や貴族が全財産無くす気で分け与えればスラムなんて多分無くなる。
だけど、どんな賢王でもそんな事はしない。
孤児だった僕ちゃんにとって、王妃様や王子、そして家族がルシオラやユシーラ、セト、そして恩があるのがルビナスさんだけ。
この人たちの命の方が教皇なんかより遙かに高い..それだけの事なんだよ。
大切な家族の命は晒せない、だけど家族の命が大丈夫な状態なら戦ってあげる。
だから僕ちゃんの方がこれでも遙かに優しいと思うんだ。
「「「それじゃ行ってきます!」」」
「「いってらっしゃい!」」
こうして僕ちゃん達は北の地へデルタ討伐に旅立った!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます