第4話 噂
久々に食べるシチューは凄く美味しかった。
勇者パーティーの時も含んで、普段から粗食だったから感激しちゃう。
野営やパーティー、依頼を受けた時、以外は別々に食事を取るんだけど何時もお金がないから安い物で済ますしかなかった。
「このシチュー凄く美味しい、ありがとうございます」
「護衛をして貰っているんですからこの位はさせて下さい!冒険者に出す筈だった分が沢山ありますから沢山食べて下さい」
「それじゃ遠慮なく頂きます」
凄く美味しい、肉がしっかり入っていて本当に旨い。
「そういえばお兄ちゃん、何の仕事しているの?」
勇者パーティーを追い出されたから...無職になる。
そうか? 僕ちゃん無職だ。
「えーと、無職だよ」
「そうなんだ、だったらお兄ちゃん冒険者になれば..あんなに強いんだからさぁ」
あれ、そう言えば僕ちゃん冒険者登録はしてあったな。
「そういえば僕ちゃん冒険者登録はしてたよ」
「それなら無職じゃないよ?」
「そうだね」
流石の勇者パーティーも冒険者証までは取り上げなかったな。
良かった、僕ちゃんこれで働ける。
僕ちゃんは黒い冒険者証を取り出した。
「見せて貰っても良いかな? 黒いのなんて珍しいね」
NAME:ソード
JOB:剣聖
RANK:SS
PRRTY:銀嶺の翼
PARTYRANK:SSS
MEMBER:セト、ルシオラ、ユシーラ
MONEY:0
「お兄ちゃん、剣聖ソードだったの?」
「驚いた? 僕ちゃんはソードだよ?」
可笑しいよ? 剣聖のソード様ってかっこ悪くて性格が悪くて、マザコンな筈だよ?
気持ち悪くて話したく無い人、そういう噂なのに。
どう見ても、このお兄ちゃんは綺麗にしか見えない。
話し方は少し可笑しいけど、この容姿ならそんなの関係ないと思うよ。
サラサラした銀髪に女の私より白い肌、美しい顔、幾ら眺めていても飽きない程綺麗なのに。
何であんな「女なら嫌わずにはいられない」なんて噂しかないのよ..可笑しいよ。
「うん、驚いたよ、剣聖なんてルー吃驚した」
「驚かせてごめんね」
「ソード様は剣聖だったんですねお強い筈だわ」
「それなら盗賊位簡単ですね」
「まぁね僕ちゃんは強いから」
「「「あはははははっ本当にそうだ(ですね)(だよ)」」」
「この辺りで今日は野営にしましょう」
森の中の開けた場所で休むことになった。
予定では明日の朝まで休んでも明日の夜に辺りにつくそうだ。
「ソード様はお疲れでしょうから先に休んでください、何かあったら起こします」
「悪いですね、すみません」
「あれの何処が気持ち悪いのか俺は解らないんだが!」
「お父さんもそう思うよね!凄く綺麗だし、話し方は変だけど、優しいし凄く良い人だよね?」
「お母さんもそう思うわ!話し方は変だけど凛々しいわね...しかも剣聖なのよ? なんで気持ち悪いなんて噂が流れているのかしら..解らないものね」
「多分ひがみじゃねえのかな?..「女なら惚れずにいられない」なら解るが「女なら嫌わずにはいられない」なんて可笑しいだろう」
「そうだよね!絶対に可笑しいよ」
「ははあーん、さてはルー惚れたな?」
「好きにならない訳ないよ?二枚目でしゃべり方は可笑しいけど優しいし剣聖なんだよ?」
「お母さんも解るわ、あと10歳若ければ.」
「おいお前!」
「ふふ冗談よ、冗談、だけど本当に信じられないわ..噂って信じちゃ駄目ね?」
「本当にな!」
どうしてなのか解らないが、ソードの悪い噂のみが流れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます