第3話 僕ちゃん 盗賊を倒して商人を助ける
これからどうしようか?
ルビナスさんの居る村には帰りにくいよ。
だって、泣きながら見送ってくれたんだからさぁ。
僕ちゃんを解雇するなら、村で解雇してくれれば良かったのに、そうしたらそのまま居たのに。
そう考えたら凄く意地が悪いよ。
しかも僕ちゃん一文無しだし、村長がくれた銀貨2枚も持っていかれちゃったからさぁ。
今思えば、誤魔化せば良かったのに。
正直者は損をする世の中って僕ちゃん的には良くないと思うな。
結局、僕ちゃんが思いついたのは、村ではなく街まで戻る。
そうする事にした。
食料も水もお金も無いけど..どうにかなるよね..僕ちゃん剣聖なんだから。
「はぁはぁ、ゼイゼイ..」
何とかなる訳が無かった、僕ちゃん最初から解っていたよ!
だけど、そう思わなくちゃやってられないからね。
山道をひたすらとぼとぼ歩いていると助けを呼ぶ声がしてきた。
「誰か助けて、助けて下さい!」
僕ちゃんは急いで駆け付けた。
様子を見て見ると行商人の家族が盗賊みたいな奴らに襲われている。
周りを見ると冒険者に警護をお願いしたらしいがもう全員倒されて伸びている。
「こんな山道誰も助けになんて来るわけねぇだろうが!」
「馬鹿じゃねぇか無駄だ」
盗賊らしい男達は15人、行商人は親子だろうか?
男1人に女1人..そして子供が1人。
「私はどうなっても構いません、妻と子供だけは助けて下さい!」
「子供だけ子供だけは助けて下さい」
「馬鹿じゃないか? 女子供が高く売れるんだぜ! 見逃がす訳ないだろうが」
「そんな」
良し助けに入ろう。
「辞めろ、今なら見逃してやる! とっとと失せろ!」
これで決まりだ、蜘蛛の子を散らすように..あれっ?
「鴨がまた一人来たぜ?」
「驚いてみて見ればたった一人だぜ..馬鹿が」
「僕ちゃんを怒らせると怖いぞ..」
あれっヤバイ、僕ちゃん..剣持って無いじゃん..
「彼奴馬鹿じゃんやっちまえ!」
「割と顔は良さそうだから、女子供と一緒に売れるかもな」
一斉に襲い掛かってきた。
ヤバイヤバイヤバイ..僕ちゃん剣が無いと駄目なんだよ
「何だ此奴、カッコつけて出てきた割には逃げてばかりだな!」
「何だ弱っちいぞ此奴」
ヤバイヤバイヤバイ..あっ!
「捕まえたぞ、ほらよ!」
バキッ
「ぐふっ」
「おらよ、もう一発いくかおらっ」
「グボッ...うえぁぁぁっぁぁ」
「何だ此奴全然弱いじゃん、警戒して損したぜ」
親子の行商が此奴なんで出て来たんだって顔をしている。
仕方ないよ、僕ちゃん剣が無ければ役立たずだもん。
冒険者の方に突き飛ばされた..あっ剣がある。
僕ちゃんは気絶していた、冒険者が握っていた剣を無理やり奪い取った。
「おーおーいっちょ前に剣何か構えやがって、捨てないと只じゃ置かないぞ!」
「それを持っちゃ、殺すしかないかもな..今なら命だけは助けてやるから捨てろ」
「僕ちゃん、謝るよ! 僕ちゃんは剣が無いと弱いから..君達みたいな奴は殺しちゃうしかないんだよ! ごめんね!」
剣聖も剣が無ければ只の人 剣聖が剣を握れば竜殺し..
僕ちゃんは思いっきり走っていき剣を振るった。
「えっ」
「あっ」
その瞬間二つの首が宙に舞った。
「何、間抜けな顔をしているんですか? 盗賊なんだから死ぬ覚悟位しておくべきです」
そのまま、固まっている場所に剣を振るった。
その距離は剣が届く場所では無い、普通なら無傷な筈だ、だが風が刃となり切り裂いた。
また、三人の首が宙にまった。
「これで5つですね..もう1/3を狩っちゃいましたよ? 逃げるにしても戦うにしてもぼさっとしていて良いのですか?」
「お前ら、掛れ!」
「嫌だ、こんな奴と戦いたくない..嫌だ」
「俺も嫌だ」
「お前ら、逃げると殺すぞ!」
「お頭よう、俺が此奴仕留めたら娘の方をくれないか?」
「やる、俺は実力主義だ、新参者でも有能な部下は優遇する、此奴を仕留めたらお前の奴隷にしていいぞ」
「やる気でたわ、お前ついてないわ、俺は少し前まで騎士をしていたんだ、しかもジョブは上級剣士だお前は終わったな」
「そんなんで、僕ちゃんに勝てるつもり? 掛かってくれば?」
「抜かしたな! これが剣の才能のある者のみ身に着く斬鉄斬りだ」
「何で武器を壊そうとするかな? そんな遊びの剣を自慢されても僕ちゃん困っちゃうよ!」
「馬鹿な、剣が折れない」
「そんな遊びの剣じゃなくて、戦う時はこうしないと」
「ただの上段斬りじゃないか!」
だが、受けた剣は無事なのに頭から下まで亀裂が走った。
そのまま、真っ二つに切り裂かれた。
「馬鹿な...」
男はそのまま死んだ。
「さてと僕ちゃん..逃がさないよ!」
結局、盗賊団はそのまま皆殺しにされた。
「謝るよ..僕ちゃんは剣を手放すと弱いから捕らえる事が出来ないんだ..だから1人だと殺しちゃうしかないんだ」
えーと、冒険者は生きてそうだからこの剣は返さなくちゃね。
此奴は盗賊だし死んでいるから此奴の剣は貰って良い筈だよね..
「剣士様、危ない所を有難うございました」
「別に良いよ、僕ちゃんもこうして剣が手に入ったし」
元騎士だけあって鋼鉄の剣だ、割と良い物持っていたな..お頭の剣は安物だけど魔剣だね、ただ殆ど魔法が使えない安物魔剣だけど。
「剣士のお兄さん、ありがとう..その凄くカッコ良かったよ」
「僕ちゃん、お嬢ちゃんの前で沢山殺しちゃったのに..ありがとう..怖い思いしなかった?」
「ううん、王子様みたいでカッコ良かった...有難う、チュッ..これはお礼!」
「有難う」
「本当に有難うございました...何かお礼をしたいのですが生憎持ち合わせが余り無くて」
「そうしたら、近くの街まで送ってもらえますか? そうしたら僕ちゃん護衛しますから!」
「良いのですか? それは寧ろこちらからお願いしたい位です」
「それじゃお願い致します」
盗賊は殺しても問題無いし、持ち物を奪っても問題無い。
お頭が収納袋(中)を持っていた以外目ぼしい物は無かった。
お金も食い詰めていたのか全員のお金をかき集めても銀貨4枚にしかならなかった。
僕ちゃんは無一文だから余裕が無いので全部貰った。
護衛の冒険者3人は気絶した振りをしていたので..そのまま1人殺した。
「剣士様、何故..」
「すぐ、後ろへ僕ちゃん気が付いちゃったよ..お前ら盗賊とグルだよね?」
「「......」」
盗賊と戦ったのに傷が無いし、行商の主人を殺そうとしたのに冒険者が怪我したり死んだりしない方が可笑しい。
「返事しないなら良いよ..このまま僕ちゃん殺しちゃうからさぁ!」
「クソッ..バレちゃ仕方ねぇ」
「死ね」
そのまま二人を斬り捨てた。
これで良質な剣が3本手に入った、お金も金貨が1枚だけどあるじゃん..うん僕ちゃんラッキーだ。
「また、危ない所を有難うございました」
「僕ちゃん護衛するって約束したからね..気にしないで」
「危ない所を本当にありがとうございました!」
「お兄ちゃんありがとう」
「ぐーっ」
「お腹が空かれているようですね、それじゃ場所を変えて食事にしますか?」
「ありがとうございます」
こういう所が僕ちゃんは冴えないんだよね。
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