インプットって、きっとこういうこと
馳月基矢さんという、新進の時代小説家さんがおられます。
代表作「拙者、妹がおりまして」が現在6巻( https://www.futabasha.co.jp/book/97845756711930000000 )まで続巻中。
カクヨムにもアカウントをお持ちで( https://kakuyomu.jp/users/icycrescent )、時代ものに限らずいろいろな作品をお書きなので、お名前をご存知の方もおられるかと思います。
その馳月さんが、月初の8/1に呟いておられた内容がとても興味深かったので、自分用の覚書も兼ねてこちらに書き残しておきます。
馳月さんは毎年「#8月1日キミへの報告」というハッシュタグで、その年ごとの近況をツイートしておられるようです。
8/1は「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」の主人公の一人、星馬豪くんの誕生日だそうなのですが……興味が湧いてタグを遡ってみたところ、各年、以下のような内容でした。
・2017年:元気いっぱいで型破りでヤンチャで生意気で情に厚い「ザ・主人公」の豪みたいなキャラを書いてみたい。
・2018年:書いたよ。物語を引っ張ってくパワーが半端ないね。
・2019年:(ハッシュタグはここから)自分とは違いすぎて書けんと思ってたけど、挑戦したらハマった。受賞もできた。
・2020年:出版できたぜ!!
・2021年:「豪みたいなキャラを書いてみたい」と挑戦してから明らかに技が増え、書ける幅が広がって現状につながっていると思っている。
・2022年:10冊目いったよ。
……という感じで。
もともとご自身の手持ちになかった「星馬豪くんのようなキャラ」に挑戦し、会得し、幅を広げていかれる様が、毎年の流れの中で伝わってきました、とても。
そして同時に思いました。
創作における「インプット」の真髄って、これなんだろうな、と。
自分の中にないものを「書いてみたい」と思い、挑戦し、取り込んで、血肉にして、ブレイクスルーを生み出す。
そうして「自分の容量」的なものを広げていくのが「インプット」の価値であり、必要性なのでしょう。
「自分の中にないもの」「自分と全く違うもの」は、自分だけでいくら頑張っても自分の中からは出てこない。
だからこそ、他者を取り込むことが必要。
他者を取り込めば、自分の領域がどんどん広がっていく。
一方、いくら多くの文字を読んでも、既に自分の中にあるものを再確認するだけであれば、インプットとしてたいした効果はないんでしょうね。読んだ文字数や冊数が問題では、おそらくない。
自分にないものに触れ、存在を認識して、書きたいと思い、書いてみて、取り込む。そのサイクルを回すからこそ栄養になる。
それを、あらためて知った思いです。
翻って自分をかえりみると……
現状、「こういうの書きたい」と憧れる何かが、ぱっと頭に浮かびません。そもそもそれ以前に、他人の小説作品を最近ほとんど読んでいないような(苦笑)インプット以前の問題ですね……。
こういうの書きたい、と思えるような何かに出会いたいですが、それにはまず、商業作品でもWeb作品でもなんでもいいから、色々な物に触れねばならないのでしょうねえ。
フィクション摂取欲が最近めっきり衰えているので、もうちょっと好奇心(あるいは、外に目を向けさせてくれる何か)を焚きつけねばならないなあ、と痛感する今日この頃です。
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