第6話 バンド組もうZ!!
青鉄レイヤが俺の部屋を訪ねて来た。
「バンド組もうぜ!!」
「……この人はまとも枠だと思ってたんだけどなぁ」
「諦めなさい我がファイナルゼータはバカの集団なのよ。ちなみにこれはレイヤの発作みたいなもん」
「お前はなんで当たり前のように俺の部屋に居座ってんの……?」
クロノも居てもうしっちゃかめっちゃかだった。
発作? なにそれ、マイブーム
ちなみにクロノは俺が買って来たテレビを勝手に見ながら笑いこけている。
そこにミコさんまで現れて。
「私、バイオリンなら少々……」
「乗り気!?」
「ふっ、ボーカルなら任せなさい」
「あっ! オレはギターなギター!!」
「うるせっ」
とんだ乱痴気騒ぎである。
エースギアでも出ねぇかな。
しかし世界は平和だ。
というか山で例の母艦型を撃ち落として以来めっきりエースギアが出なくなった。
だからみんな暇を持て余しているのだ。
「えーじゃあ俺ベースか……?」
「なに言ってんだドラムだよダサパーカー」
「ドラムかっこいいだろ!!」
あと俺の誠パーカーの事をダサいって言うのやめろ!
新選組に謝れ!
俺は半べそをかきながら渋々、外に出る。
「ここじゃ近所迷惑になるわね、ゼータ起動、ケインタイプ:ワープ」
景色が回る、行き着いた先、そこはライブステージだった。
「うわぁぁぁメッセだぁぁぁ!?」
「無観客ですけれどね」
「なんで一目でメッセって分かった?」
細かい事は置いておいて。
こうして俺達の無人のメッセでのバンド練習が始まった。
それは無駄だけど輝かしい日々で。
きっと良い曲が出来る、
そう思って。
俺は必至にドラム叩き続けた。
来たるは万来の観客、俺達は叫んだ。
「ファイナルゼータのライブにようこそ!」
湧き上がる大歓声。そこにはあのトレッキングコースに居た人達や。
俺が最初にアーマータイプ:ファイアになった直前に助けた少女の姿もあった。
「今までの俺達は無駄じゃなかった!」
「今日こそ、その集大成をお見せするわ!」
「聞いてくださいませ」
「行くぜ! ギター青鉄レイヤで! 君がy――」
千代に――
『ガッハッハッハ! 此処には優秀な人間がたくさんいるではないk』
「「「ゼータ起動」」」
そこには俺達と言う名の修羅が居た。
「今日のためだけにどれだけ練習したと思ってるんだ蟹野郎……」
蟹型エースギアが泡を吹く。もう既にその半身は無い。
「足一本一本抜いたほうがよろしくなくて?」
「そうだなぁ、まだ半分あるし、もうちょい遊ぶかぁ」
『お、お前らそれでも正義のヒーローか!!』
そこで沈黙と共に、狂気的な笑みが浮かぶ。
「ざぁんねぇん、俺達ただのバカ集団なんでぇ」
「ひぃ!?」
「光れ――俺の聖剣!」
「やめt――」
「エクス〇リバー!!」
あっどさくさに紛れて言いやがったこいつ。
あえなくライブはお開きになった。
レイヤは見るからに落ち込んでいた。
「またバンド練習付き合うよ?」
「いいよ後輩、気ぃ使わせて悪いな」
「……でもなんで君が代?」
「さぁな……クロノに聞いてくれ」
……あいつの選曲だったのか……。
こうして俺達のひと夏の青春は幕を閉じた。
だけどまたきっといつか歌う日が来るだろう。
「待ってろよ武道館」
「来ねーよバカ」
バカしかいねぇ世界の果てで!! 亜未田久志 @abky-6102
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